赤い欄干の橋がぐるっと回転しはじめ、天橋立の内側に船が入ってくる↓観光の船かと思ったら大きな運搬平船が二隻やってきた↓

※入ってくる動画、こちらに載せました

 

天橋立の根っこに位置する文殊堂を見学して、小天橋(この橋)を渡った時偶然に出会った。

良いタイミング。

それにしても、運んでいたのは何?

「ニッケルの鉱石をインドネシアから輸入しているのですよ」とガイドさん。

何故、天橋立の奥に運ばなくてはならないのか?

 

バスが天橋立の北側へ向かう時、窓から工場の煙が見えた↓

湾の奥には日本全国に三か所しかないニッケルの精錬所があったのだ。

それにしても、なぜこんなところに精錬所を置いたのか?

もっと工業地帯に近い場所のほうが便利だろうに。

 

調べてみると、かつて大江山にはニッケル鉱山があり、それを精錬するために昭和十五年に操業を開始したものだった。

中国との戦争は拡大し、アメリカとの戦争の気配が強くなっていた時代。

鉱物生産を国内で出来る限り可能にしようと、含有率の低い大江山のものも最大限に使おうとしていたのである。

下の地図で左下に見える鉱山マークがかつての大江山鉱山の場所↓

↑鉱山の約十キロ北に精錬所の最寄駅「岩滝口」が見える↑

↑湾の入り口を塞ぐように天橋立の緑の線が海上にある。

あの輸送船はここを通っていたのである。

 

日本海沿岸は精錬作業に必要な石炭が九州から運びやすく、無煙炭を算出する清津(チョンジン)朝鮮半島からも近い。なるほど、それでこの場所にあったのか。

 

鉱山は終戦の年に閉山された。

が、精錬所はそのまま維持され、ニッケル鉱石を海外から輸入して事業を続けている。

 

ただ、天橋立の奥は鉱石を運んでくるタンカーが直接接岸できない。沖合であの輸送平船に積み替えなくてはならない。

大江山鉱山が閉山した今、精錬所はもうすこし便利な位置に工場を移動する方が良いのかもしれない。

そうすると、橋が旋回するのもなかなか見られなくなるのでしょうか(^.^)