スリランカの王朝が二番目の首都にした街ポロンナルワは、今は完全な廃墟になっている。
そこにぽつんと(というにはあまりに巨大だが)取り残されているこの「石の本」。
これ、何のかたちに見えます?
当時は現代の様なかたちの本はなかった時代、「本」というのは椰子の様な葉に文字を書いていた。これはそれを綴じた形をイメージしているのだ。
12世紀末のニサンカマッラ王が造らせたものと言われている。
百キロメートルもはなれたシギリアから持ってこられたとされる。
初代のスリランカ王からの系図・叙事詩、ニサンカマッラ王の政策がかかれているのだそうだ。
文字は今は刻まれただけの様に見えるが、もともとはここに溶かした鉄が入れられていたと考えられている。
横の部分には、財産や豊穣の神とされるヒンズー教でいうラクシュミ女神が、ゾウ二頭に水をかけてもらっているすがたが刻まれている。
と、ここで、右の写真をじっくりみていただきたい。
日本でも寺の彫刻に、何とも言えない顔をしたゾウの姿をみかけるが、あれとくらべて、あまりにリアルなゾウの姿ではないか。
これは、いつもゾウを見慣れている人でなくては描けない表現だ。


