一般旅行業業務取扱主任者証書1992年。この試験の合否通知封筒を開けた瞬間の事は、今でもよく覚えている。

当時住んでいたアパートの一階にあるメールボックス前、部屋へ行くのももどかしく街灯の下で封を切った。

ぺらっとこの紙一枚が入っていただけだったが、嬉しさがこみあげてきた。それまでいろんな試験を受けてきたが、自分自身が心から本気で取り組んだ試験はこれだけだったから。

年間の添乗日数が200日近かった頃だったが、日本にいる間はずっと図書館に通った。ややこしい国内料金計算に頭を痛め、業法の条文を覚えた。

当時、「添乗員さん」という立場では旅行会社からの推薦はもらえず(推薦なら二科目のところ)、六科目全部を受験しなくてはならなかったから、合格率は15%ほどだった。

「一般旅行業取扱主任者」は、旅行業界で自立して生きていくために必須のライセンスである。

今、もういちどこの試験を受けるための勉強をできるかと問われても、それは難しい。当時は二十代、やはり人にはなにかを成す年代というのがあるかと、思ってしまう。※いや、ほんとうは何歳になっても何事にも挑戦することはできるのだが。

さて、それでは、五十代前半に達した今、自分が成すべきこととは何なのか。考えて行動する時期が来ている。

「良い経験」をする人は多いが、それを生かして自分でなくては出来ないことを始められる人は少ない。それは、どこかで決心して自ら選び取っていかなては、得られないものなのだ。