はやぶさ2の1回目のタッチ・ダウン、見事すぎました! | ベンチャー・キャピタリストの困難で楽しい毎日

はやぶさ2の1回目のタッチ・ダウン、見事すぎました!

 


 

 「人類の手が新しい小さな星に届きました。」

 

 JAXAの津田プロジェクト・マネージャーが、2019223日午前11時にそう会見した、はやぶさ21回目のタッチ・ダウンは、この会見に先立つ午前729分頃に達成されました。




JAXA相模原 はやぶさ2模型展示

 

 私はというと、JAXAが開設した「はやぶさ2タッチ・ダウン運用ライブ配信」の画面で、「その時」を固唾(かたず)を飲んで見入っていました。タッチ・ダウン成功の報告が伝わったときのミッション・コントロール・ルームの喜びよう。私も思わず叫びましたが、喜びの輪が日本国中に共有された感じがして、思わず目が潤む(うる)みました。

 

 今回のシーケンスで私が最も驚いたのは、直径6メートルの狭い範囲にはやぶさ2を着陸させねばならなくなったことです。アポロ11号の月着陸の場合でも、確か着陸予定地を1km以上もずれて着陸したということだったと記憶しています。また、同じく日本現在開発中の月面着陸計画SLIMの場合でも、精度100m以内を目指して「ピンポイント着陸」と称しているはずです。

 

 これに対しリュウグウでは、小惑星自体の大きさが直径900m程度、地球からの距離約3億キロ、通信に要する時間は往復で約40分という桁外れに困難な状況下で、精度直径6mの範囲に着陸させるというのですから、これこそ「ピンポイント着陸」の名に恥じないでしょう。もちろん月の場合は重力の影響がより大きいので、かえって難しいということがあるのかもしれませんが、いずれにせよ、直径6m以内の着陸は、もはや「ピンポイント着陸」を超して、狂気の沙汰としか言えないように思えました。その「超ピンポイント着陸」に成功したわけですから、これは日本の今後の惑星探査に、計り知れないくらいの貢献を及ぼすはずです。

 

 はやぶさ2の次の注目点は、「インパクター」を用いたタッチ・ダウン・シーケンスです。このミッションは非常に複雑です。第一段階として、はやぶさ2は、本体から「インパクター」と「分離カメラ」を切り離します。第二段階で、はやぶさ2本体は、リュウグウの影に身を隠して衝撃を回避する位置まで移動します。第三段階で、切り離した「分離カメラ」で撮影しながら、「インパクター」を作動させます。「インパクター」は、写真のように表面を平らな銅板でふさがれているのですが、この銅板の内側で爆薬を爆発させることで、秒速2kmの速度(因みに拳銃の弾は秒速800m程度。)で銅板を発射します。発射された銅板は、爆風により、平らな板から丸い球のように変形して小惑星表面に衝突します。すると、直径数メートルのクレーターが形成され、小惑星内部の岩石が露出します。ここで、第四段階として、隠れていたはやぶさ2本体がクレーター上空まで移動し、降下後、クレーターにタッチ・ダウンすることによって、小惑星内部の岩石を採取します。このプロセスも想像を絶するような、複雑で困難な手順となっています。




JAXA相模原 インパクター展示

 

 そもそもはやぶさプロジェクトの目的は、太陽系の成り立ちを調べること、特に、小惑星が地球に水や有機物をもたらしたとする仮説を検証することにあるはずです。地球に帰還して無事サンプルを人類に届けるところまで、まだまだ困難は続きますが、今回のチームならきっと成功してくれることでしょう。祈っています。