「引き伸ばし要素」って何なの? ほか。 | 滅多斬り!ゲーム徒然【語る狛犬】

滅多斬り!ゲーム徒然【語る狛犬】

国内外を問わず良作を追い求める社会人ゲーマーの視点から繰り広げる、主張の偏ったゲーム批評。

先般、ユーザーサイドの自然発生的な遊び方である「やりこみ」と、メーカーサイドからお仕着せられる「やりこみ要素」についての批評を展開させていただいたが、
今日はその派生記事として、やけに目立つ「引き伸ばし要素」について触れたいと思う。
 
 
■「引き伸ばし要素」って?
 
一言でいうなら、あるゲームの内容的に適当と思われるボリュームより長く遊ばせるため、故意に差し込まれる「時間のかかるファクター」。
 
ゲームシステムや遊ぶフィールドそのものの密度はそこそこなのに、とにかくプレイ時間を稼ぐために成長要素をテンコ盛りにしたり、成長を遅らせたり、アンロックを遅らせたりするものなどがある。
無駄な広さのマップとかもそれにあたると思う。
 
今日この記事で示す「引き伸ばし要素」の定義は、先般の記事で触れた「やり込み要素」のそれと大きな違いがある。
それは「やりこみ要素」が本筋と関係なく無視しても進められるということに対し、「引き伸ばし要素」はプレイ全般にかかわるもので、
クリアを目指すプレイヤーに等しく突きつけられる要素というもの。露骨なものは、無闇なやりこみ要素よりもさらに酷い。
 
PSPのガンダムバトルナントカは、次々登場するMSを乗り換えていくのが基本だけど、パイロットの成長ではなく機体のカスタマイズが主体(かなり時間を使わないと強くならない)なので、ちょっと強くするためにアホほど飽きたミッションを繰り返さないといけない引き伸ばしゲーの典型だった。
似たり寄ったりの登場キャラクターを山ほど増やして、その全てに成長要素を課す無双シリーズはその中間か。
一人だけを遊んでクリアということも可能だが、あまりにも短い。小出しに登場するキャラを次々クリアし、最後の大物のエンディングムービーを見るところまでが内容とするなら、極端なやりこませと引き伸ばしの双方を兼ねると言えなくもない。
 
 
■RPGは「引き伸ばし」の宝庫

レベル上げ、スキル上げや付与、アイテム取得、金策。
RPGはそれらの要素を楽しみながら旅を続け、ラスボス打倒とエンディングを目指す枠組みの作品がほとんどだと思うが、様々な理由によりそのバランスが崩れている。
プレイボリュームを水増ししたり、発売後すぐ中古に流されるのを阻止するため、レベル上げの作業を課したり、スキル上げを煩雑にしたり一長一短にしてみたり、金欠が続くドロップ率に調整したり。
最近では、わざと引き伸ばしたバランスにしておいて「キャラが早く成長するアイテム」を有償DLCとして買わせる詐欺的な商売もお盛んだ。
 
最高に露骨なものはやはりMMORPGか。プレイ時間のほぼ全てが引き伸ばしと言えるくらいレベル成長が遅々として、スキルはなかなか上がらず、ランダムに出現するアイテムはシケている。
で、そこそこの結果を残すにはそれこそ何ヶ月も課金に応じるほかは無い作りになっている。まあ商売だし当然だが。
 
ただ、昔PCで遊んだレゲー「エメラルドドラゴン」みたいに、バカみたいに成長が早く戦闘ごとにレベルアップしていくのもつまんない。
Wiiの「ラストストーリー」もちょっと引き伸ばしが足りない気がした。やはり成長モノには、若干のストレスがカタルシス獲得のために必要なのである。
ただ、ソロプレイでも国産のRPGは特に引き延ばしが気になる!
システムがペラいのに遅い成長とかややこしいシステムで引き伸ばし、手抜きクエストで水増しし、歩いていけない路地まで描いてるだだっ広い一本道マップ、
声優が喋ってなかなか進まないイベント(飛ばすと話がわからない)、無駄なやりこみコレクションは多彩と、どうでもいいもので肥え太った印象がある。
 
海外RPGの代表と言えるベセスダのRPGは成長が早いわけではないが、豊かな景観でリアクション性の高いオープンフィールドを闊歩したり、手の込んだクエストを堪能したり、
主人公視点で繰り広げるロールプレイとドラマを楽しんだりしているうちに、程よくレベルアップする印象で引き伸ばされた感じはしない。
中身の造りこみそのものに天と地ほどの開きがあるのだから比べるのもどうかと思うけどな!全部俺調べだけどね!
 
 
■周回引継ぎは引き伸ばしか?
 
例えばバイオの周回引継ぎでアンロックされる武装や衣装、スパロボの周回引継ぎで確保できる改造段階や資金、PPなどは引き伸ばしか?
これについてはプレイへの感謝の意というか、サービス性が高いものだと思う。伝統面もあると思うね。
 
特にスパロボは初回に思うままプレイしていると、隠し要素や特別なルートの機体などを逃しやすい。
実際スパロボユーザーの意見で多いのは、初回を攻略情報なしで楽しみ、2周目から隠し機体目的のために攻略見ながら進めるので、引き継ぎがあって助かるというもの。
製作者側も、1周で全部登場じゃつまらないけど入魂の戦闘アニメは全部見てほしい!ということで歯車はピタリと噛み合うんだろう。
 
 
■引き伸ばすことの弊害
 
これは前回の「やりこませ要素」と同じで、各ゲーマーの限りある時間を無駄に引き伸ばした要素で奪うことはビジネス的に愚策だと思う。
選択肢としてあるやりこみ要素ならまだしも、等しく課せられるものということを忘れちゃいけない。
雑誌に書く「クリアまでの時間:○○時間」を水増しし、ボリュームがあるゲームだと騙す刹那的な商売は同時に、底の浅さや仕掛けに気づいたユーザーから反感も買うことになる。
本当に面白いゲームはプレイ時間に関わらず心に残るし、苦労の末のカタルシスもほどほどで良い。
 
MMO関係はビジネスモデル上引き延ばしがゲームのキモみたいなもんだし、引き伸ばして課金に応じてくれれば儲けもんだとふんぞり返った結果、
ダラダラ続くゲームがユーザー数に対して飽和し、ある種のバブルはもう終わってしまったと聞く。
 
商売はなんでも真摯にやりましょう。そういうこった!
 
 
■〔余談1〕そういや「評価システム」ってあるよね…
 
昨今、ステージが短めのアクションゲームに散見される「評価システム」。
これ、前回の「やり込み要素」の話題に加えるのを忘れていたよ!
 
にしても、俺がプレイしたものをすぐBだのCだのと上から目線で格付けするゲームってなんかムカつくわ。。
ぱっと思い出したものでは「ベヨネッタ」。
つまらん一本道ステージで、演出もクドくて、常にウザいQTEがからむ繰り返しプレイに堪えない凡作のくせに、周回前提の格付けとか偉そうにすんな。
 
それ以外のゲーム全てにも言える。俺のように中途半端な腕前のゲーマーだと、Sが取れないとわかってるのに表示される評価システムは、
自分なりに楽しくプレイしている気分に冷や水を挿される気分なんだ。
「おっしゃ、HPギリギリでクリアー!!(テンション↑)」→リザルト画面でDamageボーナス0点→Rank D(しょぼいドクロマーク)→「お前に言われんでもわかっとるわクソがぁ!!!」
  
 
■〔余談2〕狛犬のやりこみ例
 
・Fallout3 ハンドガンプレイ
 ハンドガンプレイ(Small Arms片手のみ)は意外と厳しい。攻撃力がないから、強化型スーパーミュータントやデスクローとの戦いは至難。
 ダートガン(クギ撃ち銃)の使い方がカギとなる。
 
・Fallout3 ナックルプレイ
 ブラスナックルとスパイクナックルのみ。パワーフィストは禁止。意外にハンドガンより楽だが、一方的に撃たれる場所や屋上についてるタレットはきつい。
 
・Fallout3 原始人プレイ
 ナイフ、刀剣、ハンマー禁止。コンピュータ、メディカル、ソーシャルスキル不可。
 金属パイプ、ビリヤードのキュー、ゴルフクラブ、バット、ネールボードでBrotherhood of Steelのガトリングレーザー兵に喧嘩を売るステキな狂人。
 スニーキングしたまま鉄パイプ1本だけでエバーグリーン・ミルズのレイダーを全滅させたりした。
 
・Fallout : New Vegas ウェスタンプレイ
 結構楽だがかっこいいので。
 使える武器はリボルバー(イジェクションポート式のみ。スイングアウト式はダメ)、レピーターガン(レバーアクションのみ)、ダイナマイトだけ。
 服装もウェスタン準拠で防御力皆無。
 
・Fallout : New Vegas 爆発物プレイ
 爆発物しかダメ(殴ってもダメ)なので、かなりの難易度。
 ドンピシャの位置に地雷を仕掛けてふっ飛ばし、グレネードを投げ込む。
 乱戦になると自分も爆風でダメージ受けるし、そもそも爆発物の補充が大変!
 
・Fallout : New Vegas 追いはぎサバイバープレイ
 ハードコアモード(空腹・渇き等がある)、買い物禁止、NPCとの馴れ合い禁止、修理禁止。これが結構つらい!
 全て拾い物か奪ったアイテムで生き抜く、レイダーの気持ちが良くわかるプレイスタイル。
 修理不可としたことで、武器や防具が次々変わるのがちょっと新鮮。

やっぱ、やりこみはゲームの面白さ(自分の好み)あってこそ。

Falloutは両機種で実績/トロフィーコンプ、1,500時間以上遊んでる。


ウォー・イン・ザ・ノース:ロード・オブ・ザ・リング
ワーナー・エンターテインメント・ジャパン (2012-04-19)
売り上げランキング: 272


ウォー・イン・ザ・ノース:ロード・オブ・ザ・リング
ワーナー・エンターテインメント・ジャパン (2012-04-19)
売り上げランキング: 183