久々のゲームレビュー。
今回斬らせていただくのは、レトロSF調アクションシューター『バイオショック2』のソロプレイモード。
このゲームはレビューを書かずにいられない!
解説・導入
60年代レトロと近未来のテイストが混じった海底都市を舞台とした、RPG色の強いアクションシューター。
一人称視点シューターでありながら、自由な探索とキャラや装備の強化による成長要素も楽しめる。
前作はソロプレイキャンペーンのみだったが、2からマルチプレイにも対応している。
開発は2Kゲームズ、日本での発売元はディースリー・パブリッシャー。
国内では3月4日に発売されたばかり。
CERO区分は前作がD→本作でZになったため、前作と売り場が異なってしまい少々いびつ。
プラットフォームはX360/PS3。今回の記事はX360版を購入し書いています。
気になる音声は英語のみ、日本語字幕に。
スパイクがローカライズを担当した前作「バイオショック」は日本語音声+日本語字幕で、吹き替えのレベルも非常に高かったため残念。
世界観・独創性
このシリーズは世界観が独創的で、作品全体の魅力をぐいぐいと引っ張っていけてるのが特徴。
世界大戦が終結した翌年(1946年)、大科学者アンドリュー・ライアンが建造した海底都市「ラプチャー」。
海底火山のエネルギーを動力とし、選ばれた科学者・芸術家・技術者たちが国家や思想、宗教観などにとらわれず才能を遺憾なく発揮できる「科学の楽園」。
その栄華は遺伝子工学者ブリジット・テネンバウム女史が発見した物質「ADAM」により、一気に崩壊へとなだれ込む。
ADAMは人間の様々な能力を飛躍的に向上させることができる大発見だったため、その開発競争に端を発しラプチャーに武力抗争が勃発。
さらに、ADAMには人間の精神を蝕む強力な副作用があったため、次第にラプチャーは「スプライサー」と呼ばれる怪物化した人間がADAMを求めて徘徊する「滅びの楽園」となった。
前作ではそれから十数年後の1960年、海上での飛行機事故から偶然ラプチャーを訪れることとなった男(ジャック)がラプチャーからの脱出を目指すストーリーだった(前作と言えどネタバレは止す)。
その続編である本作はさらに10年後、ある事件のあと永い眠りについていたプロトタイプ・ビッグダディ”デルタ”が目覚め、かつて自分が護衛していたリトルシスター・エレノアと再開すべく、新たな支配者を迎えたラプチャーを探索するというストーリー。
リトルシスターというのは、ラプチャーに拉致されてきた女児たちの遺伝子を改造し、ADAMを産出するウミウシを寄生させられたクリーチャーだ。彼女らはラプチャー内で唯一ADAMを産み出せる存在として、常にスプライサーたちから付け狙われている。
彼女らを護衛するため、ロボットのような外見になるほど武装強化した改造人間がビッグダディである。彼らはリトルシスターと非常に強い絆で繋がれており、命を賭して”娘たち”を護るためだけに存在している”父親たち”である。
これら両者の奇妙な信頼関係が、バイオショックシリーズの存在感を強烈に印象付けているといって過言ではないだろう。
グラフィック・演出
水の表現はかなりのこだわりを感じる進化具合。
前作ではガラスチューブ状の通路で周りを見渡した際や、窓越しくらいにしか水の表現を感じることが無かったが、本作では主人公が強化潜水服に身を包んだプロト・ビッグダディということで、ヘルメットに跳ねる水滴や潜水した際の映像処理などが秀逸となった。
それ以外の部分では(昨今の基準となると)普通のクオリティ。
30fps動作で特にスムーズというわけでもなく、多少画面にチラつきが入る。OPTIONで可変60fpsに設定できるが、要所で余計ガタつくように感じる。
オブジェクトの物理的挙動は独特で、死体などが木の葉のように吹っ飛んだりピクピクと震えたりすることが多い。
これはFallout3やオブリビオンでもよく見られる現象で、おそらく共通のミドルウェアであるHavok
が影響していると思われる。
このように、グラフィックの技術的な品質面では凡庸とも取れる同シリーズだが、その真骨頂はデザイン的な品質の高さにある。
ラプチャーの持つ「科学の楽園」としての近未来感、パラレル的1940年代~50年代を醸すレトロ演出、そしてゲームの舞台となる60年代以降にはそれらが崩壊しかかって、退廃感と狂気が入り混じった「滅びの楽園」となった側面。
そういったBeforeとAfterの流れ・歴史的な演出を背景とオブジェクトで忠実に創り上げている。
また、前作同様に多様な登場人物たちが吹き込んだボイスレコーダーが多数入手できる。これらを探索し、さらにラプチャーの真実を紐解いてゆくことができるようにもなっている。
そうした大小こもごもの演出全体が、それらを目にするプレイヤーに直接「ラプチャーにようこそ!」と語りかけてくるようだ。
やはりこの作品の最大の魅力はそこだろう。キャラ頼み和製RPGのようなカッコつけもブレも感じない世界観が、そしてビッグダディをはじめとする独創的な面々の相乗効果により、あまりにも非日常的な海底都市ラプチャーにある種の臨場感を抱くことができるのだと思う。
ほんといい仕事してる。
操作性・ゲーム性
オフラインモードの操作性は及第でストレスは無い。
ビッグダディを操作すると聞いて当初は「ノロマでは??」と危惧したが、体感速度は前作と変わらず安心。プロトだから速いのか?
前作との一番の違いは武器が右手、プラスミド(ADAMで使えるようになった魔法)が左手で常時表示されるようになっており、同時に投射することが可能となったことだろうか。
プラスミドの使用がより身近になったせいか、敵の体力は総じて上昇したように感じる。
前作ではNormal序盤の敵ならピストル3発ほど胴体に当てれば仕留められたが、本作ではピストル相当のリベットガンならヘッドショットでも2~3発ほど要するように。
同様に、前作ならエレクトロボルト+エレキシェルのショットガン連打であっという間に倒せた敵のビッグダディも一筋縄ではいかないガチ装甲に。火花バシバシの着弾エフェクトなどでも固さが強調され、手ごたえ充分!
細かい部分では2から回復アイテムのショートカットキーがBボタン(PS3なら○ボタン)から十字キーの右に改まっており、暴発する危険性が減少。
武器かプラスミドの選択サークル画面からBでも、時間を止めた状態で安全に回復可能だ。
プラスミド(魔法)の源であるEVE回復も、前作ではプラスミドを準備した状態でXボタン(PS3では□ボタン)だったのが、武器かプラスミドの選択サークル画面からXボタンとなっている。
で、フリーとなったBボタン(○ボタン)は現在装備中の武器で殴るというアクションになった。いちいちレンチに持ち替えなくても、ブン殴って引き剥がせる。ドリルを装備して殴れば威力満点!
ドリル楽しいよドリル。
バトルの抑揚もさらにソリッドなものになった。
本作では主人公がリトルシスターを連れ歩いている場合、残留ADAMのある死体からADAMを抽出する作業に入ることが出来る。その間、ADAMの臭いを嗅ぎつけてワラワラと現れるスプライサーからシスターを護衛してやらねばならない。
事前にスプライサーの通り道にトラップを仕掛け、小型のタレット機銃ロボを設置し、弾薬を補充し、機敏に立ち回れる位置取りを考えるなどの戦略要素が出てきて非常に面白い!
これは作品の重要なテーマであるシスターとダディの”絆”をうまくゲームに落とし込む、最高のアイデアだと思う。
その他、特殊能力トニックをゲットしたりシナリオが少し進んだときなどにも、要所で複数のスプライサーが襲ってくるようになったのも地味にいい。
それに、敵ビッグダディやブルートスプライサー、さらには強固かつ俊敏な強敵ビッグシスターの猛攻も新鮮。
ダメージ量も吹っ飛ばされ方も容赦なく、状況に応じたプラスミドや弾薬のチョイスで狡猾に戦う必要が生じたので、戦闘は前作よりもはるかに手ごたえが感じられ、とにかく面白くなった。
マップの広さや全体のボリュームは変わらないが、必要充分だろう。
付加価値
オンライン対戦のマルチプレイモードが新たに実装されたが、未プレイのため本記事では取り扱わない。
ダウンロードコンテンツ(DLC)も準備されている。
第1弾はマルチプレイモードの拡張パックとなるようだが、第2弾はシングルプレイの拡張もあると仄めかされている。
独断まとめ
海外レビューの多くでは、「良作だが、前作ほどの刺激や驚きは無い」との評価が目立っていたのだが、そのようには感じられなかった。
むしろ、前作を最近買って本作を続けて遊んだ俺は「2」での進化に驚きっぱなしだ。
もちろん、世界設定としてのラプチャーを強烈に印象づけたのは前作で間違いない。
だが「2」では、より起伏が豊かになったゲーム性という点で大きく進化を遂げており、決して刺激や驚きが無いとは言えないと思う。
まだ未プレイの諸兄には、2本セットでおすすめしたい作品。



