月収 原田ひ香
2025年2月25日 初版発行
2025年5月20日 7版発行
初出「婦人公論」2024年1月~12月号に掲載された作品に加筆修正。
作品紹介・あらすじ
月にいくらあったら幸せ?
大ベストセラー『三千円の使いかた』と一緒に読んでほしい新作!
それぞれの月収に見合う生活を送る6人。
欲しいもの、不要なもの、そして、
お金では買えないもの――。
【月収4万の女 乙部響子(66)の場合】……年金暮らしで貯金を切り崩す毎日に、ある収入源が!?
いい加減な男を許してきた、人の良い初老の女性。
なんだか悲しくなるお話。
そして何故か、ミントを育ててみたくなった。
【月収8万の女 大島成美(31)の場合】……専業作家を目指し、不動産投資を始める。
フリーランスの先輩が言うには、好きな仕事をする以上、他の人より努力するのは当たり前。それを前提に自分がなりたい方向じゃない方にいくら努力し続けてもしかたない。
計画を立てることの大切さを説いていた。
計画・目標・信念、ついでに下請けを大切にって。
…確かに。
【月収10万を作る女 滝沢明海(29)の場合】……普通の会社員が、親の介護を見越して新NISAを利用。
毒親っぽい母の介護と自分の老後を考えて貯蓄に励む明海さん。人生楽しいのか?不憫を感じるけれど自分が納得していればいい話。
【月収100万の女 瑠璃華(26)の場合】……パパ活専業で、20代のうち1億円を稼ぐのが夢!
田舎出身の女子大生がパパ活を続ける理由。
あまり理解できないけれど、買う人がいるから売る人もいるということなのよね。一億貯まっても幸せになれないと思うよね。
【月収300万の女 鈴木菊子(52)の場合】……夫の遺産と株式投資で、働かずとも暮らせてはいるが……。
月収300万、使いきれない資産があるのに幸せそうにはあまり思えない。でも、有り余るお金があるのは羨ましい。
【月収17万の女 斉藤静枝(22)の場合】……元介護士。生前整理の会社を立ち上げる――?
月収20万と30万の違いは、単に1.5倍の違いではない。
固定費15万(平均)を引いた5万と15万の差、3倍も自由に使えるお金が違うと。確かにそうだ、この作者さんから教わること多し。
最後の話は、いままでの総集編のようにキャスト総出演!
前向きに終わり読後感良し。
”財布は踊る”、”三千円の使いかた”、”老人ホテル”等、お金に纏わる話が上手な作者さん。
期待通り、面白かった。
300万の女編の中で、武蔵小杉のやけに古くさい明治時代の文士みたいな男の名前が付いているコーヒーショップって、猿田彦のことかしら?OPEN時にやたら混んでいたのを思い出した。