科捜研の砦 岩井圭也
科捜研の砦 岩井圭也2024年6月28日 初版発行 初出 罪の花「小説 野生時代」2,024年6月号 他 書き下ろし作品紹介・あらすじ科捜研トップと言われる鑑定技術力と幅広い知識、そして、信じられないほどの愛想のなさで警察内部でも有名人の土門誠。死因究明に並々ならぬ熱意を捧げ、「科捜研の最後の砦」と呼ばれる土門は、遺体に残された証拠であれば、少しの違和感も見過ごさない。そこに隠されているのがどれほど残酷な事実だったとしても、土門は必ず真実を追究する——。「罪の花」科警研の尾藤宏香のもとに持ち込まれた依頼は、山中に数か所に分けてバラバラに埋められた、謎の白骨遺体の鑑定。遺体発見現場を検証した科捜研の若きエース、土門誠との話す中で、遺体について衝撃の仮説が導かれる。「路側帯の亡霊」泥酔した大学生三人が起こした、深夜の飲酒運転による交通事故。土門は発見したガードレールの破損状況をきっかけに、事件の全貌と、三人の本当の関係を明らかにしていく。「見えない毒」正体不明の粉末の解析のため、東洋工業大学のキャンパスへ訪れた土門。大学講師の菅野と共に解析を進める中で、キャンパスで起こったもう一つの事件が明らかになる。「神は殺さない」死因不明の遺体の鑑定依頼が、科捜研から科警研の尾藤のもとへと持ち込まれてきた。科捜研で死因究明を担当者していたのは、いつになく冷静さを欠いた土門だった。土門が動揺する理由、そして二人が担当した事件の真相とは。土門の上司である鑑識の神様・加賀正之警視は…”最後の鑑定人”の前のお話。元妻・尾藤宏香との出会いの事件もあり、面白かった。元妻は、科学警察研究所の所属。(科警研)こちらは、警察庁の付属機関、国家公務員。主人公の土門誠は、科学捜査研究所の所属。(科捜研)各都道府県警察本部の刑事部に設置されている。人は嘘をつきますが、科学は嘘をつきません。科学に殉じ、科学に奉仕することこそが鑑定人の仕事である。組織の力学なんて関係ない。悪を悪として裁くために。科学への真摯な思いで繋がっている夫婦。推理も面白いけれど、人物像の内面の描き方とかが好きなのよね~。