妻の終活 坂井希久子
令和元年9月20日 初版第1刷発行
初出『小説NON』(祥伝社刊)
2018年11月号~2019年6月号
作品紹介・あらすじ
まもなく七十歳になる一之瀬廉太郎は定年まで勤めあげた製菓会社で嘱託として働いている。家事や子育ては二歳下の妻杏子に任せきり、仕事一筋で生きてきた。ある日、妻から病院の付き添いを頼まれるがにべもなく断ってしまう。妻の頼みごとなど、四十二年の結婚生活で初めてだったのに。帰宅後、妻は末期がんで余命一年と宣告されたと告げる。呆然とする廉太郎に長女は「もうお母さんを解放してあげて」と泣きながら訴えるのだった―。余命一年を宣告された妻が、夫に遺す“最期のしごと”とは―。結婚四十二年、仕事一筋の男と家を守ってきた女。残された時間をどう生きるべきか…。
時代のせいにするのは簡単だけれど、理不尽に耐えてしまう妻も良くない。
経済力のせいなのか親の育て方のせいなのか、本人達が満足しているのなら余計なお世話なのでしょうが、それを見て育った子供たちにも影響を与えてしまうことは忘れてはいけない。
昭和前半生まれの一定数、男尊女卑というか仕事第一主義で家庭を顧みない、自分のことを自分でできない男がいる。
現代では男女差なく存在しているようだがそもそも結婚しないか しても離婚?
我が道を行くことは間違いではないが、迷惑をかけていい訳ではない。
なんだか当たり前過ぎることをつらつらと綴って自分自身も負のオーラに包まれそうで嫌になってきた。
お話では、必要に迫られて少しずつ家事が出来るようになっていく夫。
せめて娘に迷惑をかけないよう、自分の健康は自分で守るようと家事を教える余命幾ばくかの妻杏子。
妻亡き後の妻の大事にしていた薔薇を世話する夫。
どちらも本音をださない口下手のお似合いの夫婦だったのかもしれない。