どうしようもなくさみしい夜に
千加野あい
2023年5月15日発行
作品紹介・あらすじ
高校入学前の春休み、セックスワークで生計を立て、ひとりで僕を育ててくれた母が、突然「結婚したい」と言い出した。それを聞いた僕は、元風俗嬢と噂される先生のもとへ……。肌を合わせることは、ときに切実で、ときにかなしく、ときに人を救うのかもしれない。夜のリアルを照らし出す、R18文学賞友近賞受賞作。
①今はまだ言えない
デリヘル嬢を母に持つ夏希(男)が主人公。
デリヘルでしかお金を得ることが出来ない母。
その母を汚く、そして自分自身も汚く思う辛さ。
これはせつない。
”たくさんのお客さんに愛されていたのね”この言葉が重く、やっぱりせつない。
②雪解け
結衣は何故風俗嬢になったのか。
父と娘の関係。
自分なりに落しどころを見つけなくてはいけないのね。
③天井のボール
大崎風香は自分の居場所として風俗嬢になることを選んだのね。深く考えることが苦手なんだろうな。
④ひかり
風俗嬢でシングルマザーは世間から蔑まされた存在なのか?救いはあるのか。
⑤折り鶴を開くとき
最初の話の夏希が28歳になって、風俗のお店の店長になっていた。相談相手になることも多いようだ。
セックスワーカーは性を搾取・消費されているのか、愛を与えているのか、風俗の在り方等考えるきっかけにはなった。
①のお話が一番良かった。