墓じまいラプソディ 垣谷美雨

2023年12月30日 第1刷発行

初出「小説トリッパー」2023年春季号~秋季号

作品紹介・あらすじ

「夫の墓には死んでも入りたくない」義母の遺言から始まった墓問題。それは親類や子供たちを巻き込み、墓の必要性などを考えるきっかけになっていく。「遺骨は燃えるゴミで」と言いたくなるほど面倒な、明日は我が身の墓騒動小説。

 

イマドキの苗字の問題、墓問題、とても身近で面白かった!

登場人物の松尾五月(61歳)が好きなタイプだったのも大きい。田舎で虐げられた女性が主人公より断然好み。

 墓事情も住んでいる場所によってかなり違うらしい。

京都や大阪では本山納骨というしきたりがあり、遺骨を本山霊廟に納める人が多いとのこと。

骨壺も東日本は遺骨を全部納めるのに比べ、西日本では三分の一、四分の一ほどで残った骨は合祀されるとのこと。

寺の数も7万7千のうち一万7千も空き寺だという。

現に過疎地では墓守がどんどんいなくなって、事実上の永代供養となっているそうだ。

 

諸行無常、栄枯盛衰、色即是空、時代は移り変わっていく。

日本人の無常観には墓終いが合っている。

墓の未来永劫は錯覚ということね。

そう、墓終いを反対している人がいるのならその人が亡くなってからすればいいだけの話。

 

墓や苗字や家に縛られるのはもう古い考え方なのでしょう。

生きている人間の方が大事、それに尽きる。