夜明けのはざま 町田そのこ
2023年11月6日 第一刷発行
作品紹介・あらすじ
自分の情けなさに、歯噛みしたことのない人間なんて、いない。
地方都市の寂れた町にある、家族葬専門の葬儀社「芥子実庵(けしみあん)」。仕事のやりがいと結婚の間で揺れ動く中、親友の自死の知らせを受けた葬祭ディレクター、元夫の恋人の葬儀を手伝うことになった花屋、世界で一番会いたくなかった男に再会した葬儀社の新人社員、夫との関係に悩む中、元恋人の訃報を受け取った主婦……。
死を見つめることで、自分らしく生きることの葛藤と決意を力強く描き出す、『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞した町田そのこ、新たな代表作!
~章毎にざざっと感想~
一章:華やかな結婚式、でもなんだか不穏な空気感を漂わせる物語の始まり。度が過ぎた我儘は問題だが、我慢しすぎが結局最後に破滅(離婚)へ向かう。誰かが犠牲になる、自分軸がない事なかれ主義のような考えはもう時代と合わない。
二章:男らしく夫らしく父親らしくを望んだ女と応えられなかった男。シングルマザーに育てられた娘が立ち止まれたところが良かった。
三章:豊かに生きたひとは豊かに死ねる。貧しく生きたひとは死すらも貧しい。・・・悲しいけれどあるあるなのか。
過去のいじめを軽く謝ることで許しを得ようとする人間は、決して虐められる側の気持ちを理解できないのだろうな。
四章:子供に良かれと思う親の考えと子の思いの違い。経済力がなければ必ずしも幸せになれないのか、難しい。
五章:対等な関係を築けない結婚ならしない方が良い。
それに気が付いたから結婚する人が減って結果少子化へと繋がったのか。男の意思や希望を優先にしてきたのは女に経済力がなかったからだけなのか。
我慢してきた親世代が子世代に同じように特に嫁に我慢させようとする年寄りの愚かしさも原因の一つなんだろう。
死者の最後の想い”ぎょらん”の存在を巡るお話も”死”がテーマ、趣は全然違う。
ジーン・セバーグのベリーショートヘア
バズカットとは坊主頭のことらしい。
バズ(buzz)とはバリカンが駆動している時の”ブーン”というモーター音を指しておりバリカンを使用したヘアスタイル。
トップ3センチのバズカットってこんな感じかしら。