リカバリー・カバヒコ 青山美智子
2023年9月30日 初版第1刷発行
作品紹介・あらすじ
5階建ての新築分譲マンション、アドヴァンス・ヒル。近くの日の出公園には古くから設置されているカバのアニマルライドがあり、自分の治したい部分と同じ部分を触ると回復するという都市伝説がある。人呼んで”リカバリー・カバヒコ”。アドヴァンス・ヒルに住まう人々は、それぞれの悩みをカバヒコに打ち明ける。高校入学と同時に家族で越してきた奏斗は、急な成績不振に自信をなくしている。偶然立ち寄った日の出公園でクラスメイトの雫田さんに遭遇し、カバヒコの伝説を聞いた奏斗は「頭脳回復」を願ってカバヒコの頭を撫でる――(第1話「奏斗の頭」)出産を機に仕事をやめた紗羽は、ママ友たちになじめず孤立気味。アパレルの接客業をしていた頃は表彰されたこともあったほどなのに、うまく言葉が出てこない。カバヒコの伝説を聞き、口を撫でにいくと――(第3話「紗羽の口」)誰もが抱く小さな痛みにやさしく寄り添う、青山ワールドの真骨頂。
公園にある動物型の遊具に”アニマルライド”という名称があることを初めて知った。
私が子供の頃住んでいた団地には、カエルとワニがあったような。大人になる前に引っ越してしまったので朧げなでも懐かしい思い出。
物語に出てくるカバのアニマルライドには名前もあって、治したいところを触ると回復するというまるで巣鴨のとげぬき地蔵のような効用(伝説)まである。
それにちょっとオヤジギャグっぽい作者さんお得意のきめ台詞。
”リカバリー・カバヒコ…カバだけに”。
作者さんお得意と言えば本を超えての登場する人物やら物。
今回気が付いたのは、「赤と青とエスキース」の中で出てきた漫画”ブラマン”。
"回復”がテーマかな。回復した後は経験と記憶が付く事によって以前とは違う自分になっている。
どのお話も前向きになれる、体と心の回復ね。
繫がりがある短編5編はどれもハートフル。
最後のお話が一番好きかな、年齢的な物かしら。
「お探し物は図書室まで」で2021年本屋大賞第2位
「赤と青とエスキース」2022年本本屋大賞第2位
「月の立つ林で」2023年本屋大賞第5位