兵器産業活況に有力紙は「今がチャンス」と喜色満面
尹大統領は(右)「国軍の日」記念式典で、儀仗(ぎじょう)隊を視察した
10月1日、韓国・鶏龍
「日本よ、再び軍国主義への道を歩むのか」
「日本は平和憲法を順守すべきだ」…。
日本に憲法改正の動き、防衛費増額の動きがあるたびに、韓国の有力紙には、こうした論説記事が載る。
まるで日本共産党の主張のようだ。
同党が、日本の〝有力な親韓勢力〟とされることもうなずける。
しかし、韓国はいま、ウクライナ戦争で大もうけしようと兵器輸出に躍起になっている。
その一方で、ロシアにも〝いい顔〟をつくろうと腐心している。
まさに、「大義なき死の商人国家」への道をひた走りだが、韓国の有力紙はそうした状況を喜色満面で伝えている。
ロシア外務省の情報局長は10月20日、岸田文雄首相が靖国神社に真榊(まさかき)を奉納したことについて、「軍国主義日本の犠牲になった近隣諸国の国民感情がまたしても無視された」と批判した。
靖国神社の例大祭に合わせて、韓国外交省が毎年、ほとんど同じ内容の報道官論評を発表し、韓国メディアは日付だけ変えたような記事を掲載する。
しかし、ロシアが出てきたことはあったのか。
情報局長の発言が「ロシアは韓国の味方だよ」という、〝韓国たぶらかし〟の意図を秘めていたことは明らかだ。
1週間後、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は次のように述べた。
・「われわれは韓国と非常に友好的な関係を結んでいるのに、韓国は今、ウクライナに武器と弾薬を供給しようとしている」
・「韓国が武器提供を決定する場合、韓国とロシアの関係は破綻するだろう」
・「仮に、われわれが北朝鮮と軍事協力を再開すれば…」
翌朝、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は「殺傷武器を(ウクライナに)供給した事実はない」「あくまでも、われわれの主権の問題」とする一方で、「ロシアを含む世界すべての国々と平和的で良い関係を維持しようと努力している」と述べた。
新型変種コウモリの弁だ。
実際には、ポーランドがウクライナに武器を提供し、ポーランドの武器不足(対露不安)を解消するため、韓国がポーランドに多連装ロケット砲、戦車、自走砲などの武器・弾薬を輸出するかたちになっている。
これに味を占めたのだろう。
米国の曲射砲ストックがウクライナ支援のため手薄になるや、韓国が早速、売り込みに出た。
米韓定例軍事協議が売り込み場だったとされる。
だが、韓国国防省や外交省は「民間企業が話を進めている」「米国を最終使用者にするのが前提」と、空々しく述べている。
保守系紙の朝鮮日報(2022年11月6日)は、増産に追われる武器メーカー、LIGネクスワン社の模様を伝え、武器メーカーの努力を絶賛した。
左翼紙のハンギョレ(11月8日)も、「韓国製兵器輸出、東南アジア市場で1位 過去5年間ロシアを追い抜く」との見出し記事で、はしゃいでみせた。
この記事は、ベトナムとミャンマーはロシア製兵器に依存してきたが、ロシアの兵器供給量はウクライナ戦争でガタ落ちしていることも伝えている。
「今がチャンス」というゲキだ。
「しんぶん赤旗」に、韓国の兵器輸出に関する大特集記事を組んでほしいのだが、無理か。