アイリスオーヤマ大山社長の「私の履歴書」に学ぶ海外子会社経営の着眼 | 海外事業の助っ人 深川国際経営

海外事業の助っ人 深川国際経営

長年の海外経験で得たノウハウ・着眼点や多くのトラブル・失敗から学んだ教訓等を整理していきます。
下記の方々に訪問していただければ幸甚です。
(1)海外拠点の経営改善を切実にお考えの経営者
(2)海外駐在員
(3)海外拠点監査を担当されている方

今朝の日経新聞のアイリスオーヤマ大山社長の「私の履歴書」の記事には

海外子会社経営に関する示唆に富んでいる。




アイリスオーヤマは、現在中国大連に7工場、蘇州に1工場有し、従業員は4000人

とのこと。


日本人社員は6人だけだとのこと。


現地化が進んでいる。


私が感心したのは以下の点である。


(1)中国のお役人は腐りきっており、賄賂を要求してくるケースが多いが、アイリスオーヤマ

  では、一切そうしたお金は払わないと決め、社員にも徹底したという。

  1~2年は苦労されたらしいが、「アイリスオーヤマから賄賂はとれない」との話が

  浸透し不当な要求は止んだとのこと。


 ①一部の日系企業が要求された賄賂を泣く泣く払っていると推測されるが、

  アイリスオーヤマを見習うべきだと思う。


 ②日系企業では実際に賄賂を渡すのは日本人が表に出ず中国人幹部に任せて

  いる企業も多いと思われる。

  すると、実際には賄賂としてお金はお役人には渡らず、中国人幹部が着服して

  しまうケースが少なからずあるものと思われる。

  或は会社から裏金で2000元を賄賂としてもらってもお役人に渡るのは1000元だけで

  残りの1000元は中国人幹部が着服する手口もあり得る。


 ③悪質なケースでは企業の弱みに当局に気付かれたということにして抑え込むために

  は賄賂が必要だと日本人総経理を騙しお金を巻き上げえる手口もある。

  企業経営の現場や実務では多少の弱みを抱えているケースがあることは否定できない。


 ④営業担当が官公庁の入札案件や大手得意先の商談をまとめるために購買部門

  の責任者から金品を要求されるケースも臭い話だ。

  日系企業で営業部門の人が高級車に乗るなど羽振りが良い場合は要注意である。

  顧客に渡すと称して商品券や買い物カードなどを買うケースは要注意。

  それらの商品券や買い物カードは得意先購買担当には渡らず営業担当が個人的に

  使うケースも多いと聞く。


 ⑤逆に貴社海外現法の購買担当も定期的に異動させないと癒着するリスクもある。

  ある日系企業では業者に自動車をわいろとして要求したケースもあった。


(2)人材の現地化もアイリスオーヤマを見習うべきだと思う。

  多くの日系企業では総経理、副総経理は日本人で、中国人は部課長どまり

  である。

  総経理に中国人を登用できるように育てていく必要がある。

  但し、管理水準上げ牽制を効かせること。

  信じ切ってはだめで、海外監査も定期的に実施すること。


(3)従業員を多能工として育てることは極めて重要だ。

  日本企業は国内では社員教育に相当なエネルギーとお金をかけているのに

  海外ではそれほど社員教育に力を入れていない。


(4)どんぶり勘定で製品を作り続けないように製造原価を個々の製品ごとに

  把握されているとのこと。日系企業では大企業ならやっていることだが

  中小企業では計数管理が全く出来ていない会社が多い。


  経理の乱れは経営の乱れである。