中国からの撤退の困難さ | 海外事業の助っ人 深川国際経営

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今朝の日経新聞の第5面に「中国撤退イバラの道」という
記事が掲載された。
この記事によると日系企業の中国撤退が増えそうである。
ところが撤退は容易ではない。
従業員50名、日本人3名程度の日系企業でも撤退費用は
1億円、期間は2~3年かかるとのこと。
従業員への補償金、取引先への違約金、納入先の支払
拒否、優遇を受けた補助金や免税分の返還等である。

特に大連では薄時代に熱心に日系企業が誘致され約
2000社が進出したが、薄氏は失脚、現在の大連市の
幹部はこうした薄銘柄企業には冷たいという。

98年から2000年までさくら銀行北京に勤務したが取引先
企業が撤退するのに非常に苦労していた。
法治ではなく人治といわれる国で当時まだまだ法律も未整備
であったことも原因かもしれない。

香港企業等の撤退によく使われる手法は日本でもお馴染み
の「夜逃げ」である。
老板(ラオパン)が給料支払日の前日あたりの会社に一番
現金があるタイミングを狙い現金をもって夜逃げする手口
である。
従業員は未払い給与について地元政府へ支払を求め
地元政府は暴動を恐れて本来夜逃げした老板の会社
が払うべき労働債務を払う。

流石に日系企業で夜逃げという手法で撤退したという話
は聞いたことがない。

深川が広東省仏山市順徳に2004年赴任した当時の人民元
の為替レートは1ドル=8.26元であった。
現在の為替レートは1ドル=6.05元と大幅に人民元高に
なっており、輸出条件は大幅に悪化している。
中国の輸出は大きく今後更に人民元高になる可能性が
高い。

しかも、中国の人件費は高騰し、政治情勢も不安定で
ある。

今後、中国から撤退する日系企業は増えるかもしれない。
少なくとも中国からの輸出ビジネスは厳しくなるだろう。

大連では「リストラ・撤退セミナー」まで開催されている
とのこと。