[ 国立公園鉄道の探索 ]
秩父鉄道の列車交換 (秩父鉄道本線 和銅黒谷駅)
秩父鉄道秩父本線では、今も石灰石を運搬する貨物列車が走っています。単線ですから、列車交換が行われる駅もあります。
秩父と長瀞の間にある「和銅黒谷駅」でも、貨物列車と旅客車両の列車交換があります。
彼方の山は、武甲山です。この山で産出された石灰石が運ばれてきます。
デキ300形303電気機関車に牽引された貨物列車が、和銅黒谷駅の長瀞側の踏切に差し掛かります。
踏切をゆっくりと越えていきます。
通常は直流区間(1500V) を走る電気機関車は、パンタグラフは二つとも立てて集電するのですが。
この機関車は、進行方向前方のパンタグラフだけを立てています。
20,000Vの交流区間を走る電気機関車は、進行方向後ろ側のパンタグラフを一つだけ上げて集電しています。
これ、決して負荷は軽い状態ではありません。20両編成、総重量1000トンに達するはずです。
相当の電力が必要になると思われますが。
秩父本線を走る貨物列車は、高速走行しないので、パンタグラフが架線から離れるリスクは低いため、ある種の省エネも兼ねて行われているのかもしれません。
確かなことはわかりませんが、珍しい運用だと思います。
この位置で停車。三峰口方面へ向かう電車を待ちます。
秩父鉄道の場合、貨物列車が走っているので、列車交換用の側線がかなり長くなっています。
この間、件の駅近くの踏切は閉じたままです。
貨物列車が停止ししたので、積み荷の様子など観察してみました。
中間に、車掌室のあるヲキフ100形車両が差しはさまれていました。現在は、車掌は乗務しておらず、このタイプ貨車も廃車が進み、今や希少な存在になりつつあります。
あらためて貨車に積まれた石灰石を眺めてみます。貴重な資源を大切に運んでいる、と見受けられます。
ヲキ100 鉱石運搬用ホッパ車、 バラ積輸送が今も行われている、いかにも秩父鉄道の車両、という感じがします。
踏切の警報音が7,8分鳴り続けたでしょうか。やっと長瀞方面から、秩父方面、影森行の電車がやってきました。
重厚な貨物列車と対称的に、電車の方は軽やかに走り抜けていきます。
電車は駅に到着しましたが、踏切は塞がれたままです。 待っている人はおりませんでしたが。
影森行の電車が駅を発つと、漸く貨物列車は運行準備に入ります。
スュルリ、と独特の音を響かせた後、重々しく動き始めました。
貨物列車はこの先、長瀞の渓谷地帯を進んでいきます。