白久(秩父鉄道) 両神温泉薬師の湯 | 国立公園鉄道の探索 ~記憶に残る景勝区間~

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白久 (秩父鉄道)  両神温泉薬師の湯

 

 

 

 

秩父鉄道秩父本線の白久駅(埼玉県秩父市 羽生起点 70.4km)は、終点三峰口駅の一つ手前の駅です。

荒川の渓谷から一段高い段丘上に開けた集落の中に駅があり、秩父の本格的な山岳地帯の入口、といった雰囲気が漂っています。

 

 

 

 

 

「白久駅」の駅名標ですが、大分黒ずんでみえます。「白くしてくれ」ともうけとられます。

駅名標の下の一角に白い部分があります。そこには「埼玉県秩父市」を示す表示がなされています。以前は「埼玉県荒川村」だったのですが、市町村合併て゜秩父市に編入された際に、変更されたもので、そこだけ白く光ってみえます。

 

 

 

終点の三峰口に向けて各駅停車の電車が進んでいきます。

 

 

 

電車が進む方向にある里山の彼方に奥秩父の高峰が控えています。

 

 

白久駅から北側に、秩父鉄道線と並走するように荒川が流れています。荒川にかかる橋梁を越えると、秩父盆地を横断して雁坂トンネルに至る国道140号線に達します。

 

 

 

下流側の風景を眺めてみます。この時期水は少な目ですが、透明感は保たれています。

 

 

 

白久から北へ約6キロほどのところに私がよく行く温泉があります。三峰山系なども望める、静かな盆地の一角にある、両神温泉薬師の湯です。

 

 

 

温泉は、「道の駅」の施設の中にあります。入浴料金は600円です。

 

 

この中は、結構人が多かったので撮影はさすがに控えました。「源泉は地下600mより毎分280ℓ、泉温24.3℃で湧く冷鉱泉、フッ素とメタほう酸が温泉法規定値を満たすことから温泉認定となる。低濃度ながらph9.2のアルカリ値由来のほのかなツルっと感が温泉情緒を醸す」

と説明されています。私は冬季、乾燥肌で随分痒くなることがありますが、不思議にこの温泉に入ると痒みが収まります。そんなこともあり、

しばしばここを利用しています。

 

 

 

「薬師の湯」の名称は、近くにある法養寺薬師堂に由来します。

神奈川県伊勢原市の日向薬師、愛知県新城市の鳳来寺薬師と並んで、日本三大薬師に数えられているそうです。

 

 

 

間口11.7m、奥行11.27mの寄棟造の薬師堂は、埼玉県内では数少ない、室町時代の建築様式による建物とされています。

永禄12(1569)年~元亀元(1570)年の武田信玄による秩父侵攻の際兵火により焼失、その後、武藏国鉢形(寄居)城主の北条氏邦により再建されたことが記されています。この北条氏邦という人物、名君だったようで、秩父各地で氏邦の功績を称える話が伝わっています。

北条家自体が、民生に長けていたようで、関東各地の旧北条家の城下町では、徳川幕藩体制の殿様より、旧北条家の遺風をしのぶ伝統があります。その縁で、小田原、八王子、寄居は姉妹都市となり、北条家の連帯は今に伝えられています。

 

 

 

薬師堂からも「伝統」を感じます。

 

 

この貴重な木造文化遺産を守るため、天井各所には火災報知器が設置されていました。

 

 

 

法養寺薬師堂の隣には両神神社があります。

 

 

 

 

神社と仏閣が、同じ風景の中で静かに調和していました。