「読書をしていても必ずしも国語の成績がよいとは限らない」というのは事実です。
でも、「だから、読書はしなくてよい」はまちがいです。
本1冊を読み通すだけの力はないけれど、国語はすごく得意だというお子さんはいません。
読書は十分条件ではないけれど、必要条件です。
算数における「四則計算」のようなものです。
計算だけできても算数の難問は解けません。
でも、「だから、計算はできなくてよい」とはならないですよね。
国語のとても苦手なお子さんは本を読みたがりません。
そして、そのことを保護者の方も「仕方がない」と容認してしまう傾向にあるようです。
「学習」として、毎日10分(本当は30分くらいほしいですが)、
少しレベルの高い本を読むことを習慣づけるとよいでしょう。
さて、国語は苦手だけれど将棋は大好き、というお子さんにおすすめしたいのが、この本です。
佐川光晴著『駒音高く』(実業之日本社)
朝日小学生新聞でご担当いただいている編集者のYさんが見つけてくださいました。
5月6日と5月20日の朝小「国語の時間」でも使わせていただいております。
7つのお話に分かれていますが、第2・3・4話は少年少女が主人公なので、ここから読み始めてもよいでしょう。
将棋オンチの私でも十分に楽しめました。
佐川光晴先生といえば、『大きくなる日』(集英社文庫)が多くの中学入試で取り上げられました。
『駒音高く』も、人と人との温かい交わりが、おだやかな筆致で描かれています。
親子で読んで楽しんでいただけたらと思います