前回、だらだら書かない練習をしましょう、という記事を書きました。


実は、私も「たくさん書いてしまう」タイプで、短い記述問題を解くのにストレスを感じる方です。



何を隠そう、桜蔭コースを担当していたときは、あれこれ盛り込んで書かせるような指導をしていました。

実際、かつての入試では、そういうやり方で勝負になりました。


でも、ひたすら書きまくって何とかしようとする受験生が殺到すれば、もう一段上のスキルを持った者が優位に立つようになります。

無駄なくポイントを絞れる受験生が入試を制するようになっていくのではないでしょうか。

 

簡潔に書くための、初歩の初歩のお話をしたいと思います。


「主語」を見つけられるようにしてほしいのです。


子どもたちは、「主語と述語の関係」をほとんど意識せずに読み書きしています。


主語に対応する述語は探せますが、その逆がとても苦手です。

試してみましょう。

例文
雪がすっかりこおって大理石よりも①かたくなり、空もつめたいなめらかな青い石の板で②出来ているらしいのです。(宮澤賢治『雪わたり』)


問 傍線①・②の主語を一文節で書き抜きなさい。


主語と問われれば一文節で答えなければいけませんが、そうした文法的な正確さを求めるのが主眼ではありません。

 

そのため、次のような問い方でもよいでしょう。

①何が「かたく」なったのですか。書きぬきなさい。

②何が「出来ている」のですか。書き抜きなさい。

いかがでしょうか。

①の主語は「雪が」②の主語は「空も」です。

 

(「何が」で聞いた場合には、①雪 ②空 が答えです)

特に②が難しいようです。この部分が空の描写であることをほぼ意識せずに読んでしまいがちです。



さて、主語(主部)と述語(述部)に気づくと、なぜ簡潔に書くことにつながるのか、次の例題をどうぞ。

例文
 林の中には月の光が青い棒を何本も斜めに投げ込こんだように射して居りました。  (宮澤賢治『雪わたり』)

問1 十字で要約しなさい。
 【解き方】主部、述部だけを直結し、常体に直します。

問2 十五字で要約しなさい。
 【解き方】問1の答えに、重要度の高い修飾語(修飾部)を加えます。

 何が重要かを判断するのが難しいところですね。
、原則として、比喩は省きます。
  この文は林の中の描写ですから、「場所」が重要です。


答え
問1 月の光が射していた。
問2 林の中には月の光が射していた。
 

このように、まず主語(主部)と述語(述部)を柱にして、それに重要度の高い語句を足していく、というやり方をマスターしてください。

 

 

使用語句の優先順位は、、指定字数や内容、文脈によって異なります。

 

 

さしあたり、「なくても意味が通じるかどうか」で判断してみるとよいでしょう。