中1の長女が生まれた頃は、「3歳までの育て方で子ども能力は決まってしまう」という風潮があり、さまざまな書物であおられていたように思います。

私もご多分に漏れず、井深大先生の『0歳から』にいたく感動し、「幼児開発」は購読していたし、「七田真式」にもはまっていました。フラッシュカードもたくさん買ったし、足りなくなって手作りまでしてました。

ドーマン博士のドッツカードなんて、もう常識。これをやれば、右脳が開発されて瞬時にして四則計算の答えが出せるようになるとか。我が子が算数の天才になることを夢見て、1~100までの数の赤い玉が描かれたそのカードを娘の前に持って行っては数を叫んでいました。

さて、私のやり方が悪かったのか、娘は、私に勝るとも劣らない見事な算数オンチに仕上がり、右脳開発のはずが変な回路が開いてしまったのか、かなりユニークな子にと育ちました。

3歳までに脳が決まると言われると、逆に3歳を迎えた時点でもういいか、という気持ちになってしまい、右脳開発からは足を洗いました。やめてみると、あれはなんだか宗教に近いものがあったな、と思われてきました。「これをやれば、○○になれる」というものにすがって、それを実行することで安心感を得ていたように思います。

でも、フラッシュカードにせよ、親子ふれあいの時間を持てたことは確かで、それによって育ったものもきっとあるのだと思っています。無駄だったとも思わないし、すごく効果があったとも思えませんが、まあ、一緒に遊ぶ時間をとれたということでよしとするかな、と振り返っています。