皆さまも「温故知新」という四字熟語はご存知のことと思います。
「論語」(為政篇)からの言葉で、
「故(ふるきを)温(たずねて)新(あたらしきを)知(しる)」と訓読します。
意味は、昔のことを良く知り、そこから新しい知識や道理を得ること

昔のこと=先人が積み重ねてきた知識をよく復習すると同時に、
自分の頭で考え、新しい知識を作り出していく、その両者ともに大切という意味に解釈しています。

この言葉は広く人口に膾炙していますが、続きはご存知でしょうか?
同じく「論語」(為政篇)に次の文言があります。
「子曰く、学んで思はざれば即ち罔くらし。思ひて学ばざれば即ち殆あやうし。」
この部分が、まさに「温故知新」という言葉の説明に当たると思うのです。

そして、教育においてもこれは永遠の真理ではないでしょうか?
いくらすでに構築された知識を学んで蓄積しても、自分の頭で考えなければ、真理に到達することはできない。
(罔には、あざむく、ない、という意味があります。何もなさない、というような意味でしょうか)
一方、いくら自分の頭で考えても、先人を初めとしたほかの人の意見を聞かなければ、独り善がりに陥って危険である。

他の人の言葉に耳を傾け、客観的な視野を持つと同時に、自分の頭で考え、自分の目で見ることも大切である。
教育はまさにこの二つのどちらを欠いてもいけないのだと思うのです。
もちろん、教育だけでなく、人が生きていく上で「謙虚」と「自主」はどちらも重要です。
しかし、特に「教育」という字は「教える」「育む」から成り立っていることからもわかるように、
「他者から教わる」と同時に「得た知識を自分で育てる」ことが必要なのですね。
そして、私たちがすべきことは、その両方ができる人間を「育てる」ことかもしれません。

「温故知新」にいろいろ考えさせられた今日です。
国語の先生のブログでした。
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