2023年4月1日。
父が一等星として輝きはじめて、今年で7年目。
我が家は先日、家族みんなで父の7回忌を無事終えたばかりだ。
ついこの間3回忌を終えたと思ったら、あっという間に7回忌。
月日の流れは本当に早く、気づけば我が家のおーちゃんも、この春幼稚園に入学だ。
あのおチビが、もう幼稚園。
幼稚園といえば、父のバイクで送り迎えをしてもらったことがあった。今じゃ信じられないが、あの頃はヘルメットをかぶらなくてもいい時代だった。だから父はノーヘルで、もちろんオレもノーヘルでバイクに乗って幼稚園に行く。ガソリンタンクにしがみつきながら。
何度も言うが、今じゃホントに信じられないことだ。なんならこの記憶さえ、本当なのか?と疑うほどだ。
そんな父のバイクはとにかくうるさかった。どうやったらそんな音になるんだってくらいの音だった。今思えばそれは
マフラー取れてないか?
っていうくらい、近所迷惑なバイクだった。
でも、たまに乗る父のうるさいバイクは、とにかく速くてカッコよくて、なんだかその送り迎えの時間が嬉しかったのを覚えている。
あれから43年。
だいぶ遅めのデビューになるが、オレもあと半月後に息子の送り迎えをはじめる。
シートベルト付きの静かな電動自転車で、息子にはヘルメットをかぶせて。
そう。時代は変わったのだ。
ノーヘルの時代はとっくに終わったのだ。
時代は音速で昭和から平成をまたぎ令和になったのだ。
令和はニックネーム禁止だ。
苗字をさん付けで呼ぶのだ。
令和は男がレジに並ぶと女の子は冷めるのだ。
このすぐに冷める現象を蛙化現象と呼ぶのだ。
令和は糸電話でも黒電話でもないのだ。
スマホがあって当たり前なのだ。
令和のラジコンはスケールが桁違いなのだ。
ベンツはしご車(実在する)から水が出るのだ。
そう、時代がもう全然ちがうのだ。オレたちが生きた昭和と今我が子が生きている令和は、たった一字ちがいで別世界なのだ。
その世界は昭和育ちのオレからすれば、まるで近未来を見ているかのようだ。
近未来の時間経過はとにかく速い。野球で言うなら昭和が江川で令和は大谷だ。スピードが20キロ近くもちがう。
そのくらいの速さのちがいが、ここにはある。
昭和育ちのオレは、そのスピード感のなかで令和生まれの息子を大きく育てていくことになる。
さて、ここからどうするか。
幼稚園に入学するくらいの年齢ってことは、いよいよ色々な遊びを覚える頃だ。手始めに、釣りを教えてやろう。もちろん、昭和エッセンスを添えて。
「釣りっていうのはな、見えない魚を釣るからおもしろいんだ。それが、ロマンだぞ」
昭和のあの日、父がオレに言ったように、令和のその日オレも息子にそんな言葉を贈る。
そう。どんなに時代が変わり、スピードが変わろうとも、変わらないモノはいつまでも変わらない。だからオレは、息子には変わらないモノの大切さを伝えていきたい。
変わらないモノの中にある、本当の楽しさや素晴らしさを、伝えていきたい。
そんなふうにして、父親らしい言葉もたまには記しておきたいw
今年も変わらず桜が綺麗だ。
4月1日。いつの日からか、毎年この日は父と自分を重ねる日になっている。
父はオレにたくさんの思い出を残してくれた。だからだろうか、父がしてくれたことはすべて息子にやってやりたいと思っている。ただ、あまりにたくさんありすぎて、それはなかなか大変な任務だということに、今気づいた。
そんな4月はじまりの日。
今日は父に伝えたいことがある。
最後にそれを記して、スマホを置くことにしよう。
父よ。アナタにニュースがあります。10月に孫がもう1人増えそうです。
つづく