この物語は、オレの完全なるノンフィクション。




それは、今から5.6年前のある夏の話。

オレたちは、男三人で、熱海の初島という熱海港からフェリーで30分の島に旅行に行った。

男三人の夏休みだった。

昼は、きれいな海を泳ぎ、夜は釣りをした。堤防から熱海を見ると、熱海海岸から花火が上がっていた。

「よし!写メ撮ろっと!」

誰かがそう言った。でも、あまりに遠すぎて、写メにはまったくきれいに映らなかった。

「本当にきれいなものって、写真には写らないんだな」

ポツリと誰かがそう言った。そして、誰かのこの一言から、オレたちのロマンチックははじまることとなる。初島にいる間は、ロマンチックなことだけを話そうというゲームが。

そして、この数時間後、オレたちはあるカップルに出会い、そのカップルのケンカに巻き込まれることになる。でも、このときは、そんなこと、まだ誰も予想さえしていなかった。

熱海の花火は、とりあえず心のシャッターをきることで心のアルバムにおさめ、オレたちは、民宿に戻った。


つづく