かくたすのいるところ
第2回公演『アンダードッグ』
~ロマン主義スケッチ集~
2016.3.16~3.20
上演時間:1時間45分くらい
脚本 連行おい/えのもとぐりむ
演出 水野美紀
出演
かくたすのいるところ 水野美紀 えのもとぐりむ 福澤重文 宮下貴裕
GUEST 富田翔 皆戸麻衣 粕谷佳五 水原ゆき オザワミツグ
2016年3月19日 下北沢小劇場B1(下北沢)昼公演 観劇。
去年に引き続き、(姪っ子誘ってみたけどフラレたので)ひとり日帰り東京観劇。
劇場が地下で。舞台を囲むようにしてのL字型の客席で今までにない造りでした。
水野さん欠席の回の観劇。他の日は、ほぼ参戦とのことで、そう聞くと残念というのが本音。
前公演も欠席の回だったので、かくたすでの水野さんの姿を拝見するのは、もしかしたら
これからも無理なのかなと、何かとタイミングの悪い私は思っていたりしています。
(唯一の雨降りの日でもあったからね。そして夜の回は雨じゃなかったし)
ぴったんこに予定があって出席回を拝見出来たとき、喜び倍増なはずなので。
そのときが来るまで、何公演も観続けられたらいいと思います。
この公演で。
出来る限り、大切な仲間と共に出演参加したいのだという
水野さんの熱い想いというか、心意気を感じ。
その行動こそがロマンなのかなとも思う。
やりたいことをやりきる姿勢、とてもいい。
でも、観劇は満足。
あの小さな空間と1枚の赤い布で色んな物語に連れてってくれました。
舞台上で、動揺の余韻の波が、押し寄せてきても、
魅せられる、考えさせられる、笑える。熱量の高い2時間弱でした。
隠しきれぬ動揺は、物語の中で、自分の名前が連呼されるという経験、笑。
いや。全然自分のことじゃないのはわかってます、でも名前よばれちゃー動揺する。
ありきたりな名前なんで、そんな物語があっても全然不思議じゃないんですがね。
ドキドキしました。いやはや。それはなんでかっていうと。
この舞台を観ることになって。
【アンダードッグ】【ロマン主義】【愛】
この3つのキーワードを頼りに、毎度観劇をする前のタノシミとして、
いろんな妄想や予想やイメージを膨らますのだけど。
アンダードッグは負け犬。
ロマン主義は調べたけれど、ぼやっとしかわからなくて。
3分でわかるロマン主義:http://blog.livedoor.jp/kokinora/archives/1034338347.htmlロマンだと「夢・冒険」ロマンス・ロマンチックだと「愛」のような気がして。
(ネットで調べたらロマンは「空想的、理想的、感情的な考え方」みたいです)
テーマは「愛」というつぶやきを見つけて、自分イチ苦手な分野だーと困ったりして。
結局、愛を知るために。
とりあえずラブソングを聴こうと選んだのが、SMAPの「好きよ」。
その曲の中で歌い出しの香取慎吾さんの声が好きだなーと思って、
リピートに次ぐリピートで聴きまくって、なんか相当な
アイラブユー的な気持ち、つくってからの観劇で。
《ジュンコがシンゴと恋仲になって結ばれず死んでいく》
というロミオとジュリエット風の悲恋が軸になって物語がすすむ。
参りました・・・ジュンコなので私。びっくりっぽんです。
動揺したので、今回、詳細な物語の流れが飛んでしまいました。
でも、うれしいもんです。すっごいべっぴんさんが自分と同じ名前で。
しかもイケメンシンゴに愛のこもった「ジュンコジュンコ」と連呼されるのは。
いい記念になりました。5年は寿命伸びました。確実に。
なので、所々飛んでますが、観劇記念の覚書。
死にそうなくらい働きつづけてくったくたな若者たち登場から物語がはじまる。
男4人+女1人(だったかな?)1人が誕生日らしく仕事の合間に集まった様子。
どうやらみんな、〇き家の各店舗の店長らしい。
1人がマサヒロ。1人がゴロー。1人がシンゴ。タクヤもいたっけな(ココ曖昧)
ツヨシがどうやら辞めたらしい。ん?ん?〇MAPじゃーね(◎。◎)?
ジュエリーさんという雇い主のおじいさんにこき使われてる。みたいで、笑。
えらい旬な題材で物語がすすみ。
ジュエリーさんの孫娘がジュンコ。
婚約者がいるのに、シンゴと会った時から惹かれあう。
ジュエリーさんの反対。
そしてジュエリーさんの手下の勘違いで。(社会的に抹殺を殺してもいいと勘違い)
最後はみんな死んでしまう。ジュエリーさんは心臓発作かなんか。
(ちなみにジュエリーさんの姓は、小田島だと思う。小田島たちに看取られたから)
ジュエリーさんの店で働いていた人達は、実は劇団員で。
先に辞めていたツヨシは脚本家で。
そこに15分だけタイムスリップしてきたシェイクスピアが現れる。
ニコニコっとしてお茶目なシェイクスピアは自分の時代では食べられない
牛肉の入った牛丼をもらった代わりにツヨシの戯曲にアドバイスする。
悲恋もみんな死んじゃうのも、劇だったという最後(だったように思う)
ツヨシが言う「最後はみんな死ぬ、それがロマンだ」と。
あと。小田島さんの物語も旗上げ公演のつづきが観れました。
小田島さんが甘酸っぱい恋をして、小田島の会が、
「働かせる会」から「看取る会」になったこと。
小田島さんが実は末期ガンなんかじゃなくて残り寿命は40年ってこと。
小田島の会の発足のきっかけは「ペットロス」だったこと。
いろいろなことがわかってきました。
個人的には、おにぎりの話、好き。あったかい気持ちになりました。
でっかい雪のおにぎりも、ぎゅっと握りに握った小さなおにぎりも、いい。
私は三角おにぎり派なので、それも嬉しかったりした。
【牢獄の遠吠え】
【バンドワゴンにクィーンは乗らない】
この2つは、えのもとぐりむ脚本でした。
【牢獄の遠吠え】は独特な物語でした。
不倫&横暴な態度の夫がベッドで酔いつぶれている。
昔、足蹴にされたことのある、夫の部下らしき男が、
妻に寝ている夫をナイフで殺せと迫っている。
不満の渦の中にいるであろう妻は、殺そうとはしない。
殺せば。自由になれる。
勝者になれる。と妻をけしかける部下。
それでも殺そうとはしない妻。
夫を殺せば、僕が奥さんを殺して、子どもも殺してあげる。
現世では元には戻らない家族。天国で、しあわせになれ。
妻、ついに承諾。
夫の胸を刺す。妻も部下に刺される。
子どもを刺しに姿を消した部下。
夫、目を覚ます~妻も傷ひとつない。
夫、横暴な態度、妻、おびえる。~終~
妻の願望的空想か。
ネットで調べたロマンの
「空想的、理想的、感情的な考え方」
にあたる物語だったように思う。
【バンドワゴンにクィーンは乗らない】
「バンドワゴンに乗る」とは、
時流に乗る・多勢に与する・勝ち馬に乗る、
といった意味である。*Wikipedia調べ*
元バンド仲間の2人、クィーンとプリンス。
クィーンは場末の舞台で歌を唄う。
プリンスはバンド解散後、CMなどに多数出る爽やか人気タレント。
ある日クィーンの元に変装したプリンスがやってくる。
昔、2人が付き合ってた頃の写真が明日週刊誌に載るという。
ごまかし口ぐらを合わせてくれないかとプリンスは頼む。
クィーンは拒むけど、やがて受け入れようとする。
そこへプリンスに想いを寄せるアイドルの女性がやってくる。
写真をリークしたのは自分だという。プリンスを手に入れたいばっかりに。
クィーン。実は男性。バイセクシャルのプリンス。
イメージを取るかクィーンとの愛を選ぶか。プリンスは悩む。
自分と付き合ってと迫る女性と接して、クィーンは自分が男だから悪いのねと
ナイフを手に取り自分のイチモツを切ろうとする。
そこまでするクィーンをみて、クィーンへの愛が本物だと気づくプリンス。
結論が出るか出ないかのもみあいの最中にナイフがクィーンに刺さってしまう。
息を引き取り、プリンスも自ら命を絶とうとする。
その瞬間、死んだはずのクィーンが起き上がり、2人でダンスする。そんな物語。
バンドワゴンに乗らないクィーンの、
自分をごまかさず生きようとする強さが
とても格好いいと思いました。
いろんな言葉の意味、キーワードつなぎあわせて。
愛のカタチはいろいろ。正解なんてないのだと思った。
欲・執着・エゴ・自己満足。愛もつきつめていけばそんなところにたどり着く。
それが双方意思の疎通が出来てたら、抜け出せるのかもしれないし。
そこで終わるか、その先に行けるかはそこにカギがあるのかもしれない。
終着点があるとしたなら死をもって。
ということになるのだろうか。
命果てるまで誰かを愛することが出来たら、
それこそがロマン。ということなんだろうか。
むずかしいな、愛って。ロマンって。
愛に負けてしまった者達、愛に溺れた者達ってことで、アンダードックなのかな。
【目を引いたもの】
物語の中で目を引いたのは。
赤い布を使った場面転換。物語の区切り目に、
サッと赤い布が広がってカベをつくる。
誰か1人演者さんが仕切られたカベの客席側に取り残される。
それも必ず、恥ずかしそうに、笑。
すぐに布の向こう側に行くのだけれど。
そのちょっとした時間が、目を引いて気づいたら次の物語がはじまる。
真っ暗になってまだかなーと、ちょっとの時間を、
長く感じて待つのもドキドキ感があるけど。
はみ出されて、ちょっと素に戻った風な演者さんの姿を観るのも
なんだか新鮮な感じがして、とてもおもしろかったです。
あと。演者さん達のアレコレ。
宮下貴裕さん
前公演の時も様々な役をされていて全部違う人に見え。
なんというすごい役者さんがいるのだなと感心したのだけれど。
今回もパワーアップして、いろんな役をしていました。
しかも今回はいくつも強く印象に残っていて。
今公演の印象に残ったキャラクターを挙げろと言われたら
ジュエリーじいさん・シェイクスピア・プリンスは入る。
特にシェイクスピアは某CMの鬼ちゃんのように軽くて、
笑顔がチャーミングで、とても魅了されました。
あのひとの物語がスピンオフであってもいいくらい。
富田翔さん
全身どこみても男前の人が世の中にいるんだなと見惚れてしまいました。
けだるい感じに見えるのに、時にしゃがれ声で渡部篤郎チックであったり。
スパイだった苦悩のゴローも。無邪気な子どもっぽい双子弟と権力強い双子兄も。
ゆっくり目ジカラのある神父も男前だけじゃない多彩な部分も魅力的でした。
特にクィーンさんはスカートにカツラ、ストールだけで見事に色気が漂い。
舌っ足らずでも、もう、もの悲しさ漂うクィーンさんにしか見えませんでした。
皆戸麻衣さん
富田さんとは対照的に、こんなにも自然に、
その人そのものに見える役者さんに驚きました。
お付きのおばばもおばばにしか見えず。(朝が来たの梅さんのようでした)
夫の暴力に耐え忍びつづけている主婦もそうとしか見えず。
おばばだった人のはずなのに、小田島が恋する看護師さんはもう、
優しさの滲み出る看護師さんにしか見えませんでした。
えのもとぐりむさん
何となく前公演の狂気的で可愛らしさもあるコックさんのイメージが、
頭に沁みついていたのですが、脚本家のツヨシはなんだかとても爽やかな好青年。
小田島達のリーダーで、はっちゃけつつ。1番印象に残ったのは、
ジェリーじいさんの命令を勘違いして色んな人を刺殺してしまった手下でした。
なんて狂気が似合うんだろうと思ってしまいました。あの人がもし、
自分の目の前にナイフを持って現れたら、抵抗しないで腹を出すって思いました。
粕谷佳五さん
前公演に引きつづき出演され。小田島達の中にはなくてはならない人です。
小さな声でつぶやくセリフや、宮下小田島との掛け合い、オカマさんの動き、完璧です。
牛丼太郎(かな?)の息子役の時は、もう、あの、分け目のチェンジの印象がつよく。
しばらく分け目チェンジの人として頭の中で遊ばせたいと思います、笑。
水原ゆきさん
すいません。こんなキレイカワイイ方が自分の名前の役をやってるってことだけで、
テンションが限りなく上がってしまい、どんな方か把握する前に終わってしまいました。
また、違う役でお目にかかるのをたのしみにしようと思います。って思ってたら、
クジラの歌のDVDでお見かけしたような。じっくり見直したいと思います。
オザワミツグさん
イケメンシンゴという認識では、ドキドキしてたのであまり覚えてないのですが。
「牢獄の遠吠え」では、とても狂気的な怖さを感じる役者さんでした。
もう殺すしかないという気分にさせる緩急をつけた会話に、
華奢な体から想像つかないような、大きな低めの響く声をのせ。
悪魔や死神がいるというのなら、こういう人かもしれないなと思いました。
福澤重文さん
小田島さんに会えた喜びは今回の目玉だと思います。
そして相変わらずの人の好さで、ひと山分の雪のおにぎり作ったりして。
スローモーションと何か懐かしい歌謡曲(たぶん和田アキ子さんの曲)のセットは、
みずのさんのニオイがぷんぷんしているたのしい時間でした。
末期がんじゃなかったので、また逢える日をたのしみにしておけます。
そしてもうひとつ。ビックリして胸がざわついたのは、ワルワル暴力不倫夫役。
完全にいい人と頭の中で商標登録を済ませた感があったので、動揺しました。
そしてオカマちゃんおじさんの笑い方&腹たたきは、永遠に不滅です。
スタッフの方も。
前回公演で訪れたときも思ったのですが。
すごく丁寧で、親切で。とても気持ちよく観劇できました。
いい時間をすごせて満足。ありがとうございました。