心が叫びたがってるんだ 小説 -3ページ目

「やっぱ俺、しまっちょに文句いってくるわ」

無愛想にそうつげると、岩木と相沢は軽くうーっすとながして、そのまま拓実は部室を出て行った。

岩木と相沢は、拓実にとって何でも話せる関係であり、かなり親しい。

放課後は薄汚い部室で、音楽を作っている。

音楽室の前に着くと、電気がついていたので少し強めにドアをたたいた。


「失礼します・・・、ってあれ誰もいない・・・って何だこの部屋・・・」

音楽室はしまっちょの部屋と化していた。一応音楽のものもあるがハンモックなどもある。

ちょうど今朝にみた、たまごまでかざってあった。

(今日はずいぶん卵に縁があるな・・・)

しまっちょに心底飽きれていると、ハンモックの上にひとつの楽器が目に留まる。


「お、ちゃんと音なるじゃん」

拓実は感触を確かめるように弾き続ける。

「たまーごーにー、ささーげーよー・・・ Beautiful would・・・」

拓実はドアのほうから視線が向けられていたことに気がついた。

成瀬順だった。順は拓実が歌っていたのを聞くことに夢中になっていたため

拓実が聞いていることに気づいたことが、すぐにはわからなかった。

遅れて気づき隠れようとしたとき、順の後ろから声がした。


「おーう、それ坂上作ったの?やるぅ、てか引けるのね」

「・・・今のはっ、その、違っ・・・」

「いいっていいって」

拓実がはずかしがっているのを、楽しんでいるかのように答えた。

「んで、どうしたのー?」

順が思い出したようにポケットから‘直訴状‘と書いた紙を出し、しまっちょに突きつけて

音楽室を出てしまった。

「えぇ・・・、直訴状?あいつ、やるなぁ」

同感してほしかったのか、しまっちょは拓実のほうに目を向けていった。

「俺もそうですよ、俺も辞退します」

「ええ・・・、まぁそんなことだろうと思ったけど・・・。じゃあ坂上が代わりのやつクラスから選んでよ、それならいいぞ?」

拓実は返事に困り、そんなことできるわけないだろと内心思いながら次の言葉を考えていた。

「やっぱお前は優しいな、でもそんな生き方じゃ損するぞ?」

やはりな、という自慢げな顔で馬鹿にするようにしまっちょがハンモックにすわりはなしてくる。

「損させてるの誰ですか・・・。」

「まぁ、がんばってやってみようや?いいメンバーだと思うから、な?」

「どうせまた、読み聞かせや創作ダンスみたいなものをやるんでしょう?

わざわざ委員なんでいらないじゃないですか」

「毎年それじゃ老人も飽きちゃうから、今年は新しいことにチャレンジしてみよう、大事だぞー新しいことにチャレンジすることは、さっきやったお前が歌ってたみたいにミュージカルやれば?面白いと思うぞー?」

「先生もちゃっかりきいてたんじゃないですか。今日は失礼します」

拓実はまた、納得のいかないまま、不機嫌そうに音楽室を出て行った。