今、このメールを読む。驚いたことに気がかりな記事特集その7のコメントを彷彿させる内容であり、コメントの解説ともなっている。摩訶不思議なタイミングである。受信は。4月3日であり、何分多忙のため今しがた拝読したのだ(2022年4月9日AM10時半頃)。その7は、AM9時頃更新している。しかも今回出てこられる青学大教授の記事を参考に投稿している。運命的な何かを感じざるを得ん。

 長周新聞。罪滅ぼしか、破滅への罠か。心して読解されたい。


拡散希望 経産省前原発テント村


件名:米映画監督マイケル・ムーアが批判するウクライナ報道、およびロシア史研究日本人学者14氏の声明発表  長周新聞記事

お世話になっています。頭書の件、ウクライナ問題についての長周新聞記事を転送、紹介します。
追伸)永瀬ゆきさん、木村雅英さんご推奨の記事です。

【1】米映画監督マイケル・ムーアが批判するウクライナ報道 「戦争に巻き込もうとする背後勢力に抵抗を!」長周新聞2022年3月25日
https://www.chosyu-journal.jp/kyoikubunka/23069
【2】「ウクライナ戦争を1日でも早く止めるために日本政府は何をなすべきか」 ロシア史研究者有志が声明発表 長周新聞2022年3月29日
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/23102

========長周新聞記事【1】========
【1】米映画監督マイケル・ムーアが批判するウクライナ報道 「戦争に巻き込もうとする背後勢力に抵抗を!」長周新聞2022年3月25日
https://www.chosyu-journal.jp/kyoikubunka/23069

 アメリカの映画監督マイケル・ムーアは3月16日、インターネットのポッドキャスト(音声番組)でウクライナをめぐるマスコミ報道を批判し、「アメリカ人をウクライナに入れたりロシアと空中戦をして、第三次世界大戦を起こしてはならない」と呼びかけた。

 番組案内は「プーチンがウクライナに侵攻してから3週間、延々と繰り返されるニュース・サイクル。チャンネルを変えると、同じ話、異なる専門家。しかし、戦車が路上の車や死体を吹き飛ばす映像や、恐怖で逃げ惑う難民、殺されるアメリカ人ジャーナリストなど、恐ろしい映像の背後で、もっと不吉ななにかが働いている」「私たちアメリカ国民は、私たちを戦争に導こうとする他のアメリカ人(政治家、評論家、元将軍、より大きな利益を求める企業の親玉たち)に操られていることを明確にしなければならない」と訴えている。
 番組はウクライナのゼレンスキー大統領がアメリカ議会で演説する直前に放送された。ムーア監督の発言のあらましを紹介する。
〇………〇
 ゼレンスキーの演説は強く感情的なものになるだろうが、その背後に私の知っている者たちがいる。私たちを戦争に引き込もうとしている奴らがいるが、それはプーチンのような人々ではない。
 私は、旧ソビエト連邦とソ連崩壊後のロシアを訪問したことがある。その時に数回プーチン氏と顔を合わせて、ウクライナについて考えを聞いたこともある。その時のプーチンの考えと今のプーチンの考えは、何も変わってはいない。
 変わったのは、私たちを戦争に引きずりこもうとしている奴が出現したことだ。それは政治家、マスメディア、戦争で何千万、何億ドルともうけようとする軍需企業だ。私たちは、「われわれはウクライナに行かねばならない。われわれは戦争しなければならない」という内側からの誘惑に対して抵抗しなければならないのだ。

 アメリカは第二次世界大戦後の75年間に世界で暴虐の限りを尽くしてきた。それらは朝鮮、ベトナム、カンボジア、ラオス、中近東諸国。中南米ではチリ、パナマ、ニカラグア、キューバ。第一次イラク戦争とそれに続くグロテスクなイラク戦争、アフガニスタン戦争など数えたらきりがない。
 アメリカはイラクで、アフガニスタンで100万人もの人々を殺し、多くの米兵が死んだ。その陰には息子を失った親、夫を失った妻、父親を失った子どもたちがいる。もはや、アメリカ人は戦争することは許されないのだ。
 私はアメリカのテレビがどんな放送を耳や目に押し込んでいるかを確認するとき以外はスイッチを切っている。テレビは毎日、毎日、悲しいニュースばかり流している。道路の死体や子どもたちを見せて、ひどいひどいと刷り込むことであなたの心をむしばんでいく。悲しければ、悲しいほど、大衆洗脳と戦争動員プロパガンダ効果があるのだ。

 フォックスニュースの記者がウクライナで殺された。それはアメリカ人を再び戦争に巻き込むためには、良い知らせだ。「今、彼らは私たちアメリカ人を殺している」と。これは非常に悲しいことだが、私はこの戦争で死んだすべての人を思っている。アメリカ人であろうとなかろうと、さらに破滅的な道を進むわけにはいかない。
 今日、私があなた方にお願いしたいことは抵抗だ。それはプーチンに対してではない。政治家とマスメディアと戦争産業集団が仕組んだ大衆プロパガンダに対してだ。ウクライナのゼレンスキー大統領は「ロシアとの停戦」をいう一方で、「アメリカはロシアと戦争するべきだ」と主張している。私たちアメリカ人は、たとえウクライナ人のためであっても、戦争に参加してはいけない。私たちは世界中を破滅させる戦争をしてはいけないのだ。

 プーチンがウクライナに攻め入ることを宣言したとき、ロシア陸軍大将が不満そうな顔をした。私はそのとき次のようなクレイジーな考えが浮かんだ。「荒稼ぎして金もうけして安楽生活をむさぼっているロシアの為政者にとってはもちろん、高給を稼いでいるロシア政府の陸軍大将、高級官僚にとっては、プーチンの戦争を止めさせるか、プーチンを失脚させることによって、資本主義ロシアでの裕福な盗人生活をとり戻せることができると考えているのではないだろうか」と。
 私は、アメリカが関与するいかなる形の戦争にも反対だといいたいのだ。報道機関は真実を伝え、実際に起こっている政治の話、なにがおこなわれているかを伝えてほしい。プーチンを排除するために、ロシア人と一緒になにを計画しているのか、彼らの軍隊はなにをしているのか。それが本当のレポートになるのではないか。
 私たちは賢い人間であり、プーチンを止めるためにいくつかの独創的な方法でウクライナを助けることができる。皆さん方には今すぐ、あなたが選んだ国会議員に連絡をとり、ホワイトハウスに「戦争は解決策にはならない」「アメリカの戦争には反対だ」と伝えてもらいたい。

 私たちはベルリンの壁がとり壊されたときに、NATOを廃止すべきだった。アメリカ軍はウクライナに行ってはいけない。ロシア領土に入ってはいけない。NATO軍に参加してはいけない。
 メディアだって?! 糞食らえだ!


=======長周新聞記事【2】========
【2】「ウクライナ戦争を1日でも早く止めるために日本政府は何をなすべきか」 ロシア史研究者有志が声明発表 長周新聞2022年3月29日
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/23102

 ロシアのウクライナ侵攻をめぐり、ロシアや東欧の政治や歴史研究を専門とする学者14氏が「ウクライナ戦争を一日でも早く止めるために日本政府は何をなすべきか」と題する声明を発表した【別掲】。声明は「憂慮する日本の歴史家の会」のホームページ上に掲載され、日本政府、中国大使館、インド大使館に提出するための署名を募っている。ウクライナを支援する欧米諸国と、反発するロシアとの情報戦が過熱し、メディア報道が客観性を失った熱狂に染まるなかで、中立的立場から停戦合意の実現に向けて具体的に働きかけようとする知識人の行動が注目されている。
 声明発表にあたり、呼びかけ人の一人である和田春樹・東京大学名誉教授(近代ロシア史)は、「私たちはウクライナ戦争を一日でも早く止めるためになにができるかを考えた結果、同じ職業の仲間で、停戦と停戦の仲介を求める声明」を出すことになったと経緯をのべ、次のように動機を説明している。

 「ウクライナ戦争の戦況をテレビで眺め、防衛庁の専門家や大学の軍事専門家の解説を聞いていると、ウクライナ頑張れ、ロシア軍を押し戻せ、プーチンを潰せと叫ぶ以外に別の意見を持てなくなってしまいます。戦争は一日も早く止めなければならず、そのためには即時停戦を両軍によびかけ、停戦会談を本格的に開始するように求め、必要ならば、仲裁者、仲介者になって、停戦合意を導く必要があります。
 日本は憲法によって国際紛争のために武力による威嚇、武力の行使をおこなうことを放棄した国なのですから、停戦プロセスに積極的に参加すべきです。停戦と停戦の仲介を求める声をあげることが必要です」。

 そして「日本、中国、インドの各国政府に、ウクライナ戦争の公正な仲裁者となるように要請」するためオンライン署名を募り、一般にも広く賛同を呼びかけている。 この声明立案に至る過程の議論が動画で公開されている。そこから歴史研究者たちの議論の要旨を紹介する。

◎平和憲法生かす機会に  和田春樹氏が提言

 ロシア史研究を専門とする和田春樹氏(東京大学名誉教授)は、今回のロシアの侵攻を受けて「ロシアを研究している者として、非常に心配して見ている。ロシア研究者は、ロシアがウクライナに軍事行動をとって侵入したことについては衝撃を受けるとともに悲しく思っている。だから関係者はこれに抗議することもしているが、しかし現実は、他国に軍事行動をとらないという日本国憲法のようなものを持っている国はごくわずかだ。冷戦終結によって共産主義と資本主義の敵対的緊張が終わり、平和的に共生する新しい社会に変わったかのように思われてきたが、実は1990年以降の30年間はそんな世界ではなかった」と指摘。

 「冷戦末期からの経緯を振り返るだけでも、米国はベトナム戦争に敗北してサイゴンから逃げ帰ったが、その後なんら反省もしていないし、今日まで賠償も払っていない。米国はその後も戦争を続け、2001年にはアフガンに攻め込んだものの敗北して昨年逃げ帰り、タリバン政権が復権した。さらに大量破壊兵器があるという理由でイラクにも攻め込み、サダム・フセイン大統領を殺害したが、その結果イラクはこの世の地獄のような状態になって今も平和をとり戻せていない。世界に冠たる民主主義国家であり、日本にとっては同盟国として安保条約を結んでいる米国ですら、平然とそのような行動をとってきた。ロシア(ソ連)もアフガンで敗北した後、チェチェン戦争をやり、今度はウクライナに攻め込んだ。つまり軍事行動をしないという国是を持つ国はわずかであり、平和憲法を持つ日本でも、隣の北朝鮮とは国交が断絶し、ミサイルを向け合っているが、平和的な解決を図るという考えに基づいた行動はなにもしていない。このように戦争が常に起き、戦争を孕(はら)んでいる非常に物騒な状態にあるのが、われわれの世界だということを認識しなければいけない」とのべた。

 「今回の件で某政党機関紙から意見を求められた。私は、緊張が高まった時点で米国とロシアが話し合いをして、ロシアが憂慮するNATOの東方拡大について話し合い、ウクライナはNATOに参加させない、そのかわりロシアはウクライナの領土を保全するという約束を結び、ロシアの侵攻を阻止する措置をとるべきだったと語ったが、記者からは“ロシアが悪いんだから、攻撃してロシアを押し戻すという意見以外は載せられない”ということで、その部分はカットされた。だが戦争を止めるためには、あらゆる手段を講じなければならない。軍事的抵抗や制裁も必要かもしれないが、それでロシアが撤退するわけではない。ロシアという国がこの世に存在していてはならない異常な国家であるという考えで対処するのでは解決がない。必要なのはロシアの主張も聞いて調整を図ることであり、すでにロシアとウクライナは交渉を始めている。これを後押しすることが必要であり、そのためにも仲介者が必要だ」と強調し、概略次のように意見をのべた。
**
 複雑な歴史を共有するロシアとウクライナの間には、さまざまな問題があることは確かだが、お互いに平和的な関係を築いて共生していく以外に平和は訪れない。
 ソ連崩壊後のロシアには後進性の意識があり、常に先進国から圧迫を受けていると考えており、従って外からの侵略に対する強い警戒心と安全保障への執着がある。プーチンの行動は、外に侵略して強い帝国をつくるというよりも、NATO拡大に対して防衛的本能が働いた結果の暴挙とみられる。この戦争に対して戦争で応戦して叩き潰すというのでは、犠牲者が増えるばかりであり、別の手段でロシアの動きを食い止める努力をしなければならない。制裁や物資などで支援するという手段は現在までにすべて試みられているが、いまやロシアと米国を盟主とする西欧世界との全面戦争の様相を呈している。戦っているのは米軍ではなくウクライナ人だが、一種の世界戦争化だ。

 戦争を止めるには、紛争当事者同士が休戦し、会談による合意をもって戦場から去らせるほかない。「侵略した側を許すような面があってはならない」という議論もあるが、とにかく今は戦争を止めることが最重要であり、そのためには妥協も必要になってくる。
 だが現在の戦争は、ロシア対全世界という形になっているので仲介者がいない。国連総会も非難決議をしているので仲介者にならず、国連事務総長も立派な人だが仲裁者にならない。
 双方による停戦交渉が続いているが、必死で戦っている最中にはうまくいかない。やはり正式に休戦会談を呼びかける第三者が必要だ。トルコやイスラエルが乗り出してはいるが、ロシアの隣国としての日本と中国、そしてインドを加えた3国が仲介者となり、正式な休戦会談を進めて合意を図らせるべきと考える。


 なぜ日本と中国、インドなのか。中国とインドは国連総会でのロシア非難決議を棄権しており、ロシアが聞く耳を持つ可能性が高い。ただウクライナにとっては「ロシアに対して甘いのではないか」と警戒を招く。また中国とインドにもある種の対立関係がある。だから日本にそのイニシアティブをとる役目がある。
 日本とロシアは、日露戦争、シベリア戦争、ノモンハン戦争、日ソ戦争という4つの大きな戦争をした経験があり、関係は深い。最後の戦争ではロシアから降伏を突きつけられて降伏し、軍隊を解散し、戦争国家から平和国家になった。そのような国としてロシアを説得する力がある。
 ロシアはNATOの東方拡大を恐れ、反発していたが、そのことをG7のなかで一番理解していたのが日本だろう。この間、領土問題の交渉をしてきた外務省の判断の基礎には、そのようなロシアの不安に配慮しながら領土問題の解決を図るという戦略があった。だからこそ日本はロシアと話し合える土台がある。また日本はロシア非難決議に賛成し、制裁も実行しているのでウクライナ側も受け入れやすい。

 しかし、日本だけでロシアだけに働きかけることはできない。だからどうしても中国と一緒に話をする必要がある。なぜならウクライナとロシアの戦争の次は米中戦争(中台戦争)とさえいわれている。中国をこの戦争をやめさせる仲介者にすることは、日本の安全保障にも非常に大きな意味がある。日本は憲法によって、国際紛争を武力行使あるいは武力による威嚇によって解決する道はとらないという国であり、平和外交に撤するチャンスにすべきである。

 これが日本政府外務省にどれだけ聞き入れられるか不安はあるが、日本には、例えばカンボジア紛争、ユーゴ紛争などで停戦を仲介して平和移行に向けて努力した蓄積がある。
 日本が中国、インドに提案し、ロシアの東と南の隣国として、この戦争を一日も早く終わらせるために、3国が協力して即時停戦を呼びかけて停戦交渉を助け、すみやかに合意にいたるよう仲裁の労をとることができるはずであり、そのことが世界に伝わることによって仲裁の動きが強まることが望ましい。すべての人々が戦争を止めるためにできることをやるべきであり、テレビを眺めているだけの傍観者であってはならない。

◎露悪玉論では出口なし  研究者たちの論議より

 3月16日におこなわれたオンライン会議では、北海道大学名誉教授の伊東孝之(東欧現代政治史)、東京大学名誉教授の塩川伸明(ロシア政治史)、成蹊大学名誉教授の富田武(ソ連政治史)、法政大学元教授の加納格(ロシア近現代史)の4氏が、それぞれの専門的見地から得た情報や見解をのべた。オブザーバーとして国際政治学者たちも発言している。

 そのなかで成蹊大学名誉教授の富田武氏は、「日本の今の論壇やメディアでの説明や解説に非常に危ういものを感じる。防衛省関係者が増えたり、若手研究者でも危ない発言をしている人がいる。論調のかなりを占めているのが“ロシアはひどい国家だ”というものであり、また“中国の日本に対する脅威が増し、台湾に攻め込み、その勢いで日本にも侵攻してくるのではないか”といった極端なものもある。だが、一番いいたいのは、ロシアの現在の蛮行は、日本がかつて満州事変以後に中国本土でくり広げてきたこととほとんど同じではないか。そのことの反省と自覚を抜きにして、ロシアが悪いとだけ主張する考え方に強い違和感を覚える」と思いをのべた。

 また、岡山大学准教授の吉田浩氏(ロシア政治社会史)は、「一番気になるのは、西側の徹底的な制裁がロシアに対してどのような効果を果たすのかということだ。戦争は国家としての行為だが、ロシア国内には戦争に反対している人もいれば、無関係な人もいる。制裁は国というよりも、ロシア人そのものを苦しめるもので、いわば西側によるロシア人への無差別攻撃ともいえる。もちろんロシア軍の戦闘行為を考えれば、それは当然のことかもしれないが、果たしてその制裁が効くのか。私はソ連崩壊の前後と、1998年のロシアがデフォルト(債務不履行)に陥った時期にモスクワで生活したが、ロシアは資本主義というだけでは語れない生命力を持っている。もちろん21世紀になって状況はかわり、ロシアも世界の資本主義経済に組み込まれているが、戦争が終われば日本も世界もロシアと付き合っていかなければいけないわけで、そこに恨みを残すことが得策かどうか。もちろん軍事的行為は許されないが、制裁によって内部崩壊を導くことができるのかは未知数であり、戦争を食い止める効果があるとはいい難い」と見解をのべた。

 さらに「ロシア国内のリベラルや戦争に反対する人たちを応援することも重要なことだ。私の知るロシア人(大学教員)たちの意見は概ね三つに分かれている。一つは、ロシアの戦争に賛成して勝利を願う人。もう一つは、米国に移住し、米国の意見に同調して“話し合いの時期は終わった”とロシアとの徹底抗戦を主張する人。あとは、黙っている人たちだ。現在は、米欧やウクライナのいうことはすべて正しく、ロシアがいうことは全部間違いだという風潮のなかで、事実がどこにあるのかわからない。だがロシアの戦争を支持する人たちは“戦争は7年前(ウクライナ東部内戦)から始まっている”という認識だ。こうなるとロシアから先に攻撃したという議論は成り立たなくなってしまう。この間、ドンバス地方で起きていたできごと(内戦)について、実際はどうだったのかを知る必要がある。どんな前提があっても軍事侵攻は許されないという意見にも納得するが、やはりロシアの主張を知り、目的を考えなければ、ウクライナ頑張れというだけでは死者が増える一方だ。防衛も含めてロシアが受け入れられるような着地点を仲介者が提示できるようにし、それをわれわれが支えていくことが必要ではないか」と提起した。

◎日本が外交努力先導を  建設的関わりが必須

 青山学院大学名誉教授の羽場久美子氏(国際政治学)は、「国際政治の観点から見ると、NATO拡大を米国のバイデンと欧州の一部が非常にアグレッシブに推進してきたことが大きな問題だったと認識している。その点では仲介者として、非難決議を棄権した中国、インド、ブラジルなど冷戦期に非同盟を組んでいた国々が中心になって、ロシアとウクライナ双方に影響を持ちながら、NATO拡大の停止、可能ならばウクライナの中立化と緩衝地帯化、双方が一緒になって軍事力行使を停止し、軍事化を止めるという形の提案ができないものかと考える。中国では現在、王毅外相を含め仲介に意欲的な方向に傾き、中国と米国が仲介のための話し合いを開始したとの報道もある。ここまでプーチンがウクライナ


仲介に意欲的な方向に傾き、中国と米国が仲介のための話し合いを開始したとの報道もある。ここまでプーチンがウクライナ市民を犠牲にする形をとっているなかで、それが受け入れられるかはわからないが、それでも国際政治的にはウクライナをNATOに入れることは最も東西ブロックの対立を生み出すことだ。ぜひ西側にもNATO拡大の中止を訴えていきたい」と発言した。

 早稲田大学名誉教授の毛里和子氏(現代中国研究)は、「今、中国は非常に動揺している。和解や平和的努力に貢献したいと考えているが、自信がないように見える。国際社会がどう見るのか、ロシアが受け入れるのか、そして米国との関係がこじれることを一番恐れている。だが世界の大局から考えると、停戦合意が実現すれば将来において中国の国際的地位は格段に上がる。であるなら、常任理事国である中国を包み込みながら、日本がどれだけイニシアティブがとれるかが鍵だ。日本の能力と国際的評判を考えるなら、仲介者的役割を果たすために発想を転換することが必要だ。それができるかどうかはわからないが、21世紀の国際社会にとって大きな黒い影となっているウクライナ問題を乗りこえなければ、社会を若い世代に託せない。私たちには大きな責任がある」と決意をのべた。

 論議に参加した元国連事務総長特別代表の明石康氏は、「国連安保理においては、ロシアによる拒否権の行使によって何もできなかった。そのため失望の念と国連そのものに対する信頼がかなり揺らいでいる。なんとか事態を収集できないかと感じている。1950年につくられた国連緊急特別総会が唯一活用されたのは、スエズ危機(1956年)であり、国連緊急軍という国連憲章にはない戦力のない軍を派遣し、イギリス、フランス、イスラエルの3国軍がスエズ運河から撤退するきっかけをつくった。今回の緊急特別総会では、141票の多数でロシアに対する厳しい非難決議が採択されたが、そこに寄与しなかった中国とインドの考えを上手く活用できないか。やはり日本は、西側を主とする国際世論に参加するだけではなく、具体的な動きができないかと思う。国連から何らかの形でやらせてみようという動きが出てきたときに、中国やインドとともに、いままで汗をかいてきたフランスやドイツにも一緒に行動してもらうことが大事だと思う。米国はこのさい、退いていた方がいいだろう」と見解をのべた。

 また「プーチンが以前から主張しながら誰も耳を傾けていないが、ウクライナにおける中立化と非軍事化について考えてみるべきではないか。これは第二次大戦後のヨーロッパを熟知する米国のジョージ・ケナンなどが懸念していたことでもある。それに対する関心がなさすぎるのも非常に気になる。今回は、米国を中心とする厳しい制裁が発動されたが、軍事制裁まで至っていないところが意味深長であり、このような懸念をうまく汲み上げれば、中国、インド、トルコも入れて仲介の労をとることも可能になるかもしれない。ウクライナの悲劇に胸を痛めながら、これまで比較的発言力を示してこなかったアジアの国々の国際危機における手腕のほどを見てみようという世論が澎湃(ほうはい)として巻き起こるなら、日本の岸田政権もその極めて重い腰をあげるかもしれない」と期待をのべた。

 この声明に対しては、全国から賛同署名とともに、「日本こそ世界の平和のために仲介に走り回るべきである。それが憲法九条の国際貢献である」「日本としては日本国憲法の理念のもとで、戦争当事国の間に入って停戦及び平和外交に向けたあらゆる方策に尽力することが使命です。ましてや、片一方の戦争当事国に肩入れすることは、絶対にしてはいけないことです」「民間のテレビに出て元首相が核シェアリングを言い出したり、政治家が非核三原則ではだめだ、核保有を議論するなどと言っています。乱暴すぎます。火事場で火をたきつけるような行為はやめましょう。政府にあっては、非核三原則厳守は当然のこととして、冷静に外交努力を続けていただきたいと思います」「日本の市民は、ウクライナ・ロシア双方の即時停戦を求める市民と強く連帯する」「日本政府の役割は、ウクライナ人に徹底武力抵抗でロシア軍を駆逐せよと残酷な要求を突き付けることではなく、即時停戦に向けての外交努力を実現することにある」などのコメントが寄せられている。

 議論の詳細や署名は、「憂慮する日本の歴史家の会」のホームページから(https://peace-between.jimdosite.com/)


記録は、永遠に留められる。

一刻も早く停戦が実現することを、全日本国民は、願わねばなるまい。


太字は、小生

更新の可能性は、高いか低いか判らん。