著者は現役の高齢者医療に関わる医師だけに、七編の短編のタイトルは有名な文学作品のパロディになっているのだか、中身は医療の思いテーマであります。
動物実験の話はペットを愛してやまない人には酷な内容になっています。マウスならよくて犬ではなぜショックを受けるのか!?
尊厳死や終末期医療、認知症など直視したくないテーマをブラックユーモアを加えて、ちゃんと考えなさいよと諭されてるようであります。
「変心」では建前を言うことが出来なくなった心の本音を口から吐き出してしまうようになった研修医の女性。治る可能性のない患者に笑顔で励ますことの理不尽さ、医療は経営とばかりの意味のない検査、お腹がいっぱいになるほどの投薬。
患者にしかならない私だし、現に今医師のお世話になっている身としてはつい医師の言葉を素直に受け止められなくなる1冊でありました。
「カネと共に去りぬ」は認知症はまわりには迷惑かけるかも知れないけれど、本人はいたって幸せな病かもと思えました。
落語のようなオチがいいですー爆笑爆笑