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母がゼロになるまで(ソー・アンダーツ)

 

2023年9月20日

河出書房新社

 

217ページ

 

 

 

風呂に入らないのも、ゴミ屋敷になるのも、お金を借りまくるのも、支援を拒否するのも、母なりの訳があったーー。"困っていた母" と "困らされた私" が格闘した、2年間の生の記録。

 

母がゼロになるまで 介護ではなく手助けをした2年間のはなし著者:リー・アンダーツ出版社:河出書房新社ジャンル:ノンフィクション・ルポルタージュ

 

「母がゼロになるまで」 [著]リー・アンダーツ

 人が抱える困りごとは、一軒一軒のドアの奥に隠れて見えない。借金、ゴミ屋敷、自己放任による衰弱と繰り返される入退院――次々と問題行動を起こす高齢の母と、それを近くで見守りながら支えようとした娘の2年間の記録である本書は、その密室の扉を勇気を持って押し開き、社会から取りこぼされる人たちの壮絶な日々のただなかに読者を導き入れる。どす黒い感情もさらけ出す飾らないことばが心の奥に浸(し)み、読み終えると自分のごく私的なことから福祉のことまで立ち止まって考えずにいられなくなる。
 著者は自分の生活をぎりぎりで守り、母ができることを増やしていこうとする。やむを得ぬ事情で通常の生活を送りたくとも送れない人を助ける介護とは異なり、近くで応援しつつ自立を支援する関わり方だ。両者の線引きは難しいが、適正さを欠く医療や介護は、人の生きる力をそいでしまう。「家族の尻ぬぐいは身内がする」という日本に根深い考えは、人を(とくに家族の中の女性を)苦しめる呪縛だ。
 幼い頃からゴミ屋敷でネグレクト気味に育てられ、高校で家を出て一人暮らしを始めた著者の生い立ちを思えば、母を毒親として恨み拒絶していてもおかしくない。だが「おまえ」と呼んで怒りをぶつけつつ支援に並走した著者と、虚飾に塗(まみ)れても華のある暮らしを求めた母、それぞれの互いへの愛情が、ゴミ山の底に確かにみえる。
 誰もが自分の生活で手一杯(ていっぱい)だ。みんな助けがほしくて、だが他人に迷惑をかけられたくないしかけてはいけないと必死でいるのがいまの社会だ。だがそれではもう、高齢化する日本は回らない。しんどさを少しだけ吐き出しあい、肩代わりしあえればいいのに、つながり方がわからない。
 母を支えた著者にもまた、支えてくれる人がいたことが救いだ。そんな支援の輪を広げていく最初の一歩に、この本はなる。
    ◇
大阪府生まれ、東京都在住。福祉関係の仕事に従事。東京都内で不定期に座談会〈オルタナティブ福祉〉開催。

 

令和5年12月16日

朝日新聞

 

 

わたしの母はここまで大変ではなかった

でも

読んでいて苦しい気持ちが蘇ってしまいました

 

母が支援を拒んでいた10数年

かかり続けていた電話

新幹線で遠距離を通った年月

 

著者が仕事を辞めて

福祉に関わり

座談会を開いていると知りました

 

あの頃

こういった座談会があれば

経験者の生の声を聴くことが出来れば

良かったのにと思いました

オルタナティブ福祉後述|Lee Anderts(リー・アンダーツ)   (note.com)