☆完璧な母親(まさきとしか)☆

 

平成28年12月10日

幻冬舎文庫

2013年10月

幻冬舎

 

347ページ

 

「八日目の蝉」「WOMEN」に泣いた人はまた涙する! 母の愛の物語。
テレビで見る可哀想な事件が、まさか自分に起こるなんて思いもしなかった午後、うちの子は死んだ。

友高波琉子(29歳)は、東京のさびれた商店街を歩き、目についたそば屋に入る。テレビのニュース速報で、女が転落した状態で見つかったこと、さらに自分が参考人として追われていることを知る。
私を抱きしめ愛する母は、私を兄の名で呼ぶ。
1981年4月、北関東のT市に暮らす主婦・友高知可子のもとに警察から電話がかかってくる。ひとり息子の波琉(小1)が池で溺れて死亡したという。不育症のため流産を繰り返していた知可子にとって、波琉は結婚8年目でやっと生まれた子供。波琉の誕生日と同じ日に子供を産むことで、波琉を復活させようと考える。波琉子の誕生後、兄の生まれ変わりと言われながら育った波琉子。誕生日には、兄と自分用のプレゼントを受け取り、ケーキには自分の年齢より7本多いろうそくが立てられた。「あなたの体も心も、あなたひとりのものではない」という母の言葉を受け入れ続け母の愛を乞う気持ち、母を憎む気持ちが生まれる。ある日知可子のもとに「さぞ、いい母親なのでしょうね」と一通の手紙が届くが……。一人の掛け替えのない息子の死。それによって歪んでしまった、二つの家族。悩み苦しむ三人の母親、自分の生命の意味を問う三人の子供。彼等が乞う愛、赦しをテーマに家族の愛を書き切る渾身のミステリー長篇。

内容(「BOOK」データベースより)

兄が死んで、私が生まれた。一歳の誕生日。ケーキには八本のろうそくが灯されていた。幼くして死んだ兄の代わりに産み直された妹は、母の絶大なる愛情を注がれ空洞として生き続けている。やがて兄の死の秘密を知るもうひとつの家族の告白が波琉子を揺さぶる―「お母さんはいいお母さん?」

著者について

1965年東京都生まれ、札幌育ち。92年『風が吹く部屋」で文學界同人雑誌優秀作、07年『散る咲く巡る」で北海道新聞文学賞を受賞。11年『熊金家のひとり娘』(講談社)が話題に。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

まさき/としか
1965年東京都生まれ。札幌育ち。2007年「散る咲く巡る」で第41回北海道新聞文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 

「あの日、君は何をした」

に続きこの作品も読むのを止められなかったです。

ミステリーの側面で言うと

数名の登場人物が出っぱなしの取っ散らかりで

消えてしまったその後はどうなったの?

という疑問や

波流子が大人になって行く過程の描写が

もう少し欲しかったなという思いは

残りましたが

主要人物の絡みにうなったりもしました。

 

この作品も母親の内面が怖いほどに

伝わってきます。

子供を縛る親

呪縛から自由になれない子供。

 

つい先日

ある新興宗教を信じる両親に育てられた

宗教2世の方が

逆転人生に出ておられました。

そのこととこの作品が重なりました。

 

わたしも親の呪縛があり苦しみ

でも

わたし自身も子供を縛ってきたところも

きっとあるはずです。

 

多かれ少なかれ

この作品の母親の思いが

重なる母親は多いのではないかな

と思いました。

 

☆まさきとしかさん作品読書記録☆

 

2020年8月

「ゆりかごに聞く」

「ゆりかごに聞く(まさきとしか)」早朝に思うことをつらつら

初めて読む作家さんです。

朝日新聞で紹介されていた

「あの日、君は何をした」

で興味を惹かれた作家さんです。

あの日、君は何をした

が神戸市図書館になかったので

違う作品を読んでみようと思ったのが

この一冊です。

「母子の関係を主題として

繰り返し書いてきた作者」

という朝日新聞の記事から

わたしが期待をしたものと

少し違っていました。

ここまでミステリー色が強い作風だと

想像していなかったので

あれれ???

と思いながら読んでしまったのです。

一言でいえば深みがなく物足りなかったです。

でも読みやすかったです。

初めて読む作家さんの一冊目で

その後読むか読まないかが決まりがちなわたしなのですが

あの日、君は何をした

のほか

あと数冊くらいは読んでみようかな

と言う気持ちではあります。

わたしの勝手な先入観がなく読んでいれば

たぶん悪くはない作品だったのになと言う感が

あるんです。

 

2021年5月

「あの日、君は何をした」

「あの日、君は何をした(まさきとしか)」まさきとしかさん作品読書記録

最初からぐいぐいと引き込まれました。

母親の心理描写がとてもよくわかって

読むのをやめられなかったです。

こんな読書は久しぶりな気がします。

事件の真相が明らかになって行くあたりも

本来それほどミステリーが好きというわけではないのですが

解説のフレーズ「慟哭のミステリー」というのが

決して大げさではないと感じました。