☆かがみの孤城(辻村深月)☆
2017年5月15日
ポプラ社
2013年11月号~2014年10月号
「asta」
554ページ
感涙必至!
問答無用の著者最高傑作誕生!
あなたを、助けたい。
学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた―― なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。
https://www.poplar.co.jp/pr/kagami/
鏡の世界で謎を追う不登校児 大人と子どもの目が共存する救いの物語
大人である現在の自分と、子どもだったあの頃の自分の両方を、同時に、ここまで慰め、励ましてくれる小説なんてはじめてだ。辻村深月の新作『かがみの孤城』のことである。
中学一年生のこころは、ある出来事を機に学校へ行けなくなり、いつも家で過ごしている。ある日一人で家にいると、部屋の鏡が突然輝き始め、潜り抜けてみると、そこは城の中だった。集められたのはこころを含め、似た境遇にいるらしき中学生が七人。九時から十七時まで滞在が許されるその城で、彼らにはひとつの課題が出される。猶予は一年。戸惑いながらも七人は、少しずつ心を通い合わせていくのだが……。
少年少女が異世界の建物の中で謎を追う設定は、著者のデビュー作『冷たい校舎の時は止まる』と同じ。ああ、久々に初期の頃のような青春小説を書いたのだな……と思いながら読み進めた。自分も思春期にこんなふうに傷ついていたなと思い出すというより、自分があの頃傷ついたのは、こういうことだったのか、と気づかせる描写の巧さに唸る。だが途中で、それだけではないと気づいた。これは、あの頃の気持ちを失わないまま、かつ、大人としての目を持ち合わせるようになった今の著者だからこそ書ける作品なのだ。泣けるのは娘を理解しようと手探りする母親の戸惑いや怒りや喜びが、それに無自覚なこころの目を通しながらもありありと伝わってくる点。子どもが大人に望むことはもちろん、大人が子どもに対して思うことを、こんなふうに巧みに表現してのけるとは。
大人も子どもも、みんなが関係を構築していこうとしている。その部分だけでも充分読ませるが、もちろんミステリーパートも秀逸で、孤城の秘密がすべて明かされていく終盤は驚きの連続。それがまた、胸をしめつける真相だ。救いを求める側から救う側へとなった時、人は本当に救われるのだとも気づかせてくれる一冊である。
評者:瀧井 朝世
(週刊文春 2017.05.25号掲載)
内容紹介
あなたを、助けたい。
学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――
なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。
内容(「BOOK」データベースより)
どこにも行けず部屋に閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然、鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先の世界には、似た境遇の7人が集められていた。9時から17時まで。時間厳守のその城で、胸に秘めた願いを叶えるため、7人は隠された鍵を探す―
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
辻村/深月
1980年2月29日生まれ。千葉大学教育学部卒業。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。『ツナグ』(新潮社)で第32回吉川英治文学新人賞を、『鍵のない夢を見る』(文藝春秋)で第147回直木三十五賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
(アマゾンより)
2018年10月の朝日新聞
2018年6月に神戸市図書室に予約したとき
待ち人数がたしか1500人を超えていました。
約一年半待って現在160人のところまで来ています。
が区立図書室でたまたま見つけたので借りて読んでみたのです。
辻村深月さんは最近になって読み始めた作家さんです。
描かれている
女性の人間関係で生じるいろんな感情に
共感したり感服したりします。
ただこの本に関しては期待して待ち続け過ぎたことや
登場人物が中学生なのですが
もう少し上の年代を描かれている作品の方が
わたしは好きなのと
たとえ500ページ余りの長編であっても
2、3日で読み切らないと飽きてくるわたしは
この本に5日もかかってしまったこと。
かかってしまったから没頭できなかったのか
わたしにとって没頭できない作品だから5日もかかったのか?
そんな感じです。
確かに最終章はほんとに感動でした。
が傍観者として
良い作品だなぁ・・・と感じただけで
作品に入り込んで心を揺さぶられた
と言う感じではなかったです。
読むタイミングによって感動が違う場合もあるので
神戸市図書室の予約は取り消さずに
順番が回ってきたらもう一回読んでみようと思います。
辻村深月さん作品読書記録
恋と友情の絡み合いが
島の風景が思い浮かび、
短編集より長編の方が好きなのですが
辻村深月さんのこの作品は圧倒的でした
読みごたえがあり次々と気になって一日で読み切りました
心をえぐられる思いでした
表紙絵のイラストまでが恐怖です
こちらにはそのつもりがなかった言葉が
相手の心を刺したり
相手に悪気がないのに向けられた言葉が
数十年もとげとなって心に刺さっていたり
生きていれば 言葉を持つ人間だから
あることばかりです
人とのお付き合いも言葉を交わすことも怖くなります
こちらの記憶に残っていないことを
ずっと傷ついたまま抱えておられる方いるのかもしれない
と思うと生きているのも怖くなる思いです
そして思うのは辻村深月さんはすごい作家さんだなということ
(2019年9月)
東京會舘とわたし・上・新館
東京會舘とわたし・下・新館
この作品は実在している建物と人物を描かれているからか
少し毛色の違う作品の印象です。
が
さすがだなって感服しました。