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草にすわる(白石一文)      2006年6月20日
                 光文社 
 
 
 
「わたしのまちがいだった。わたしの まちがいだった。
 
こうして 草にすわれば それがわかる。」

洪治は3年間と4ヶ月勤めた不動産会社を辞めた後、
 
バイトをしながら食いつないでいたが、急性胆嚢炎を患い、
 
いまは実家で無為な日々を過ごしている。
 
彼女はいるが、その関係にも倦み始めている。
 
閉塞した日常を壊すものは何もない。
 
ある日、彼女から昔の不幸な出来事を聞かされた洪治は、
 
彼女が貯め込んでいた睡眠薬を飲んでしまう・・・。
 
絶望。その果てに彼が見たのは…(表題作)。
 
年老いて仕事への情熱を失った高名な文学者が、
 
予期せぬ形で孫と出会うことで生命のありがたみに気づく「砂の城」。
 
「覚醒の物語」二編と初期に別名義で発表した一編を収録。
 
                      以上HPより
 
 
     草にすわる
   生きる意味を見失っても ふたりでなら生きられる。
   共に生きる人がいれば 生きて行ける。
   人は人に必要とされ 生きていてほしいと求められて    
       生きられる。
   そんなことを考えました。
 
 
 
     砂の城
   名声を手に入れても 家庭がうまくいかなければ 
      むなしい。
   しあわせは なんでもない平穏。
   改めて そんなことを感じました。
   この小説は、新幹線の中で読んだのですが、
      書かれていることが深いので、
   ひとりきりの雑音のない部屋で
      集中して読んだほうが良かったように思います。
 
 
 
     花束
   新聞社と銀行という、興味深い世界が舞台。
   わたしの父が新聞社の元会社員で     
   わたしが元銀行員だから。
   でもあんまり理解できなかった。
   難しい世界だわ。
   ただ、自分の信念を持ち続け、
   上司にもこびず流されず
   仕事をする男が痛快で、
   胸のすくおもいがした。
   わたしが男だったら、
   きっと腰巾着になってやがて捨てられるタイプ
   なような気がするので、
   こういう男性をとてもかっこよく思う。