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私という運命について(白石一文)        平成20年9月25日
                        角川文庫
                        2005年4月
                        角川書店単行本
 
 
大手メーカーの営業部に総合職として勤務する冬木亜紀は、元恋人・佐藤康の結婚式の招待状に出欠の返事を出しかねていた。康と別離後、彼の母親から手紙をもらったことを思い出した亜紀は、2年の年月を経て、その手紙を読むことになり……――女性にとって、恋愛、結婚、出産、家族、そして死とは?一人の女性の29歳から40歳までの揺れる10を描き、運命の不可思議を鮮やかに映し出す、感動と圧巻の大傑作小説。
                                 
以上HPより
 
 
 
 
 
白石一文さんの作品を読むのは、これが2作目
 
一作目の「一瞬の光」も一ページ目で、この小説は「好き」と感じて
 
哲学的で味わい深い文章なのに、楽に読み進めていった
 
この「私という運命について」も、主人公の亜紀に感情移入しやすく
 
読後感がとてもよかった
 
 
 
 
 
この作品も、エリートと呼ばれる人たちが多く登場し、
 
企業内部が描かれている
 
好きなんだな・・わたしはこれが
 
エリートと呼ばれる立場にいる人の、心のむなしさのようなもの・・・
 
そして、「一瞬の光」では、
 
主人公が、若い女性を支えていくことに喜びを感じ
 
この作品の、亜紀は紆余曲折の末、結婚して子供を生むということに
 
しあわせを味わい
 
康も超エリート街道を約束されていた会社を辞めて、
 
家業を継ぐ道を選んでいく
 
という、その感じが、私自身の中の価値観にすんなり合うから
 
 
 
 
 
過去読んできた、膨大な小説の中で、一番のめりこんだのが
 
山崎豊子さんの「沈まぬ太陽」だったけど
 
白石一文さんの小説は、山崎豊子さんに通ずるところがあるように感じる
 
 
 
 
 
白石一文さんは、わたしと同じく1958年生まれの、福岡県出身
 
懐かしい言葉や、土地が出てくることも、物語に入っていきやすい
 
ところ
 
この作品で、亜紀がしばらく福岡勤務をする時期があるのだけど
 
描かれている亜紀の、ウォーキングコースがわたしの実家のすぐ近く
 
そこの路地を亜紀が歩いているのではないか・・・と、感じてしまった