心の傷
人一倍敏感で繊細な人がいます。
繊細で敏感ゆえに、心の傷を負いやすく、他者の心無い言動に自分でも気づかないうちに深いダメージを受けています。
暴力や暴言が、心のダメージにつながるのは理解できるかと思いますが…
たとえば、次のようなシーンはどうでしょう?
小学校1年生の女の子、Sちゃん。
スイミングスクールに行くことになって不安で泣いていました。
お母さんは、「Sちゃん、大丈夫よ。スイミングスクールの先生はとっても優しいわよ、心配しなくて大丈夫!」と言いました。
一見すると何の問題もないお母さんの言葉です。
ですが、このお母さんの言葉は、人一倍敏感で繊細なSちゃんが心の中で感じていることを、「そんなことは気にすることじゃない」、「たいしたことじゃない」、「気にしすぎだ」というメッセージを与えていることになります。
もちろん!!!
お母さんにSちゃんを否定する意図は全くないのですが、やっていることは、そういうことになりかねないわけです。
もし、たとえば、
お母さんが、「Sちゃん、どんな気持ちなのかな?お母さんに話してくれたら嬉しいなぁ~」と、Sちゃんの心に何が起きているのか丁寧に扱ってあげたとしたら…
Sちゃんは、
そんな自分でいてもいいんだな~。
ありのままの自分で許されるんだな~、
と感じる可能性が高まります。
「自分の心の中で起きていることなんて、まともに扱ってもらう価値はないのだ」、というメッセージは言語として捉えられなくてもSちゃんの心にダメージが残ることもあります。
それでも
心優しいSちゃんは、お母さんが悪いとは思いません。
お母さんの気持ちもよくわかるからです。
そして、
「みんなと同じにできない自分がいけないんだ」と感じて、さらに傷つくんです。
この程度のことが傷になるなんて、と思わないであげてほしいんですね。
自分の気持ちや、自分の心の内側の世界を無視される体験を重ねていくことは、一般的な〝傷〟とイメージは異なるものの、自分の感じることなど意味はないのだ、という確信を積み上げていく結果、外面的には成功していても自己肯定感を持てない人になるのです。
このような体験は、
やはり〝心の傷〟と言えるのではないかと思います。
そんなSちゃんが、いじめにあったり、衝撃的な体験をしたときに、人一倍敏感で繊細でない人よりも深い心の傷を負うことになります。
人は心の傷を負うと、自分や他人が信じられなくなったり、何をしても楽しくない気持ちになったり、自分の価値が感じられず、希望がもてない状態になりやすいのです。
治す必要なないよ
もしあなたが、またはあなたの大切な人が、人一倍敏感で繊細な人であるとしたら…それは、病気や欠点ではないので、治す必要はないんですよ。
それよりも、
どんな環境がその特性を活かすのか学んでいってほしいな、と思います。
自分が今まで不便に感じていた自分のパターンに対処するヒントも見つかるはずです。
繊細らしさを発揮して、より自由に生き生きとしつつ、もっと他の人や地球に貢献できる人になってください。
最後までお読みいただきありがとうございました