私は、東日本大震災で被災した方など…
特にトラウマを受けた子どもたちへの心理支援をしてきました。

トラウマは、地震などの災害被害だけでなく、虐待やいじめによっても生じます。どのように子どもたちに安心をもたらし、トラウマを越えて成長していくのを支援するのか。そのような支援の場において絵本を活用したこともあります。

「絵やイメージ」と「言葉」の関係は興味深いです。

トラウマがイメージという映像になって長い間過去にならないときに言葉は、イメージへのコントロールを回復させます。

実際、トラウマを扱った絵本にはいろいろな種類があります。
その中には心理教育的なものもありますし、言葉にできなくて自分を脅かし続けるトラウマ体験を絵本の中の絵や言葉の助けをもらって心の引き出しに収めていくのを助けるような心理支援的なものもあります。

虐待をテーマにした絵本には、「どんな体験も言葉にしていいんだよ」ということを導いてくれるものがあります。
 

 

 




私は、東日本大震災の支援は長期間継続したのではなく短期間の支援でした。
それでも、自分自身がフラッシュバックしそうなくらい鮮明に思い出します。

そのときに一番感じたのは、
「壮絶な体験をした子どもたちに私が一体何ができるか」


「何もできない…」
「ただ一緒にいることしかできない」ということでした。

さらに
「結局、私は名古屋に帰るし…」とも思ったわけです。


ずっとモヤモヤしていた私が、「せめて、そっとそばに置いておけるものがあればいいのに」という思いと…。

その中で私にできること、人のお役に立てることは何だろうと模索し、今まで心理療法士として歩んできた日々の気づき、私なりにお伝えできることがあるかなと思い、「いつか絵本を作りたい」と思うようになったんですね。

10年以上もかかってしまいましたが…
10年以上、持ち続けてきた思いが今年、〝絵本〟になります。

ずっと温めてきた思いは、たとえ小さかったとしても、必ず誰かの生きる世界を変えるひとしずくになる。私はそう信じています。


そして今、スクールカウンセラー養成学院の教授として活動している中でも、トラウマ体験をして苦しんでいる子どもたちに会っています。
そういう子どもたちの側にそっと置いておきたいという思いもあります。


トラウマの支援の中では安全な場所が大事なんです。
子どもにとっては絵本の世界は、安心できる安全な場所の1つだと言えます。


子どもから大人までの心理支援で役立つフォーカシング心理療法という方法があり、それを組み込んだ絵本です。

必要な方に届きますように♪

加藤絢子ひらめき