日常生活の中で、悩みを打ち明けられたり、相談をもちかけられたりして、他人の大事な話を聞くという経験は、多かれ少なかれあるのではないでしょうか?

あるいは、
もっとカジュアルに、夫の会社の愚痴や、子どもの学校での話、友人の恋愛話など、誰かの「話したい!」気持ちを聞く機会は少なからずあるだろうと思います。

そのようなとき、
あなたはどんなふうに聴いていらっしゃいますか?

実際に人の話を聴いていると、「もっとこうすればいいのに」と聞き手なりの解決策が浮かんだり、「そうなったのは、あなたにも責任があるのでは?」と批判的な気持ちが生じたりすることがあるかもしれません。

あるいは、
「この話はこういう展開だろう」「きっとこういうことが言いたいのだろう」と聞き手のこれまでの経験を元に、話の道筋を先回りして仮定してしまったりすることもある。

もちろん
こういった考えや返答が役に立つことはあると思いますが…

これらの思いに頭の中が占領されると、相手の話がなかなか入ってこなくなるんです。

また話し手は、
もらえる答えを待つスタンスになって自分で考えるのをやめたり、相手からの評価や批判を恐れて言いたいことが言いづらくなったりします。

では、
どうすればいいのか、というと…
こういった事態を避けるのにとっても役に立つのが

    「共感的理解」


共感的理解とは、
共感よりも一層内的な行為であり、認知的、感情的、身体的な領域を含めた話し手の「感じ」を感じ取ろうと努力する聞き手のプロセスのことです。

たとえば、
「紙で指を切った」と聞いたとき、その光景が浮かび、どのような痛みかと想像すると同時に、音もなくスッと切れた後にじわじわと傷口の痛みが強まる感覚をリアルに想像する、といったプロセスは共感的理解の体験に近いと思います。

共感的に理解しようと努めれば努めるほど、話し手が伝えようとしていることを掴もうとする意識に注意が向き、聞き手の個人的見解や考えを率先して伝えようとする意識は薄れるはずです。

 

加藤絢子ひらめき