カウンセリングとアドバイスの違い

 

 

本日は、カウンセリングとアドバイスの違いについて触れたいと思います。

私のもとを訪れるクライエントさんの中にも、私がアドバイスをして問題解決の方向に導いたり、問題に対する答えを持っていると期待してらっしゃる方がいます。

それは、「相談」というコンセプトが、「カウンセリング」に近いものとして広く一般的に認識されているからのように思いますが、カウンセリングではアドバイスを与えるようなことは極力避けられるのが一般的なんですね。


とは言っても、アドバイスする場合もあります。
しかし、これは単なるアドバイスではなく、聴くことの延長線上に生まれ出るアドバイスなんですね。




カウンセリングとは、カウンセラーに話を聴いてもらい、情報を共有し、カウンセラーが質問することに対して、クライエントさんが自問自答し、自らの答えや解決を見いだし、問題の解決へと繋がっていくような新しい考え方や行動を身に付けていくプロセスをサポートするもの。


ですから、クライエント自身が何を感じ、どう考え、どう思っているか…
それが、カウンセリングの中で最も重要な要素だと言えます。



「アドバイスをする」という行為には、カウンセラーとクライエントの関係性に大きな影を落とす危険性が潜んでいます。

恐らく、みなさんにも心当たりがあると思いますが、誰かに悩みを相談して「あたかもわかったようなこと」を言われたり、「できなかったこと」「しなかったこと」を指摘されて、不快になったことはありませんか?


これは、アドバイスが自分への非難や批判であるかのように聞こえてしまい、反発心や抵抗感が生じているサインです。

相談をされた側は、「なんとかしてあげたい」「力になりたい」という気持ちからアドバイスをしていますが、このような「同情心」から生まれるアドバイスは、無意識のうちにアドバイスをする側が優位に立ちがち。


相談した相手が、「なんか上から目線の物言いをしている…」と感じたら、その関係には上下関係が生まれていると思って間違いありません。

不快になるのも無理はありませんよね。


また、ある人に相談して、その人のアドバイス通りに行動したところ、良い結果を得た…としましょう。

しかし、これは相談した人の考える機会、判断や選択する力を奪う行為とも言えます。

「この人の言うとおりにすれば、物事がうまくいく!」と自分自身の判断をその人に委ねることが多くなり、依存的な関係性が知らず知らずのうちにできあがっている…ということも少なくないのです。


ですから私の場合、基本的には、8回を超えるカウンセリングはお受けしていません。
最初は依存にみえるものも、そこに溺れさせるのではなく変化のきっかけに変えていくからです。

クライエントさん自身が、自分の判断や感じ方を信頼できるようになる。

自分らしく幸せに生きていけると信じています。

 

そのサポートをさせていただいているだけです。


依存的な関係性は、本来クライエントに備わっている自分で判断し、選択し、自ら答えを導き出すという「生きる力」を引き出す妨げになる危険性があります。

それを考えると、なぜ、カウンセリングではアドバイスを与えるようなことを極力しないのかを理解していただけると思います。


アドバイスが欲しい!
という方がこのような違いを知らずしてカウンセリングを受けることは、期待ハズレになるかも知れないので、あまりオススメできませんが、自分自身が何を感じ、どう考え、どう思っているか…をじっくりと見つめ、元々備わっている「生きる力」を引き出したい、取り戻したい!と考えている方には、カウンセリングはオススメです。

 

 

おまけ

 

アドバイスが否定されるものかと言えば、そうは言い切れないと思います。

クライエントさんの語りを聴いているいると、その場に生まれてくる物語があります。
よく聴いていくと、カウンセラー、クライエントさんの間に共有される物語が浮かび上がってくるというものです。

そこでは、クライエントさんが進みたい方向が垣間見えることがあります。
ここまで語りが共有されていくと、カウンセラーにも言えることが出てくることもあります。
それをお伝えすることもあり、見方によってはそれはアドバイスとして映るかもしれませんね。

しかし、それは一方的なアドバイスではなく、クライエントさんの語りを尊重し続けることの延長線上にあるものです。

 

 

愛原心理療法研究所

ゆうあいこころのさろん

加藤絢子