【 行き止まりの世界に生まれて 】
8歳で当時自動車産業が盛んだったイリノイ州ロックフォードに母親と2人で移住し、継父の暴力とそれを止める事の出来ない母親から逃げるようにストリートへ出、13歳でスケートボードと出会い、次第に友人達の姿を撮影するようになったアジア系移民、ビン・リューが監督・撮影・編集。彼らがやがて大人になっていくまでの様子を撮影し続けた膨大なフィルムを持て余していたビンに、ジュシュア・アルトマンが編集に参加する事によって編み上げられたドキュメンタリー。
原題は
『 Minding the Gap 』
閉塞感に満ちたラストベルトで暮らす少年たちの12年間のこの成長記録は、第91回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートさ
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mid90s とはまた違う印象。前者の滑走シーンが手前に寄るものであったのに対し、こちらは前へ上へと向かうイメージ。 風に乗るように滑る彼らは鳥のようで、何もかもから解放される大空に向かって羽ばたいているように見えた。
人は生まれる場所も、家族も選べない。仏教的には諸説あるんですけど。
アベノミクスだかスガノミクスだか知らないが、列島総ラストベルト化し始めているこの日本において、このドキュメンタリーは全く他人事では無く、極めて近しい問題として目に映りました。
貧困、DV、人種差別、まだ何者でも無く、何者かになる夢さえ見られない環境において、自分が自分である為に求めた救いがスケートボードにあって、それに乗っている間だけは自由になれたような気がしている。空を飛んでいるように撮影されて映像の数々は、それが若者の間だけの特権のようにも見えて、実はそういった遊びというか誰かの救いになるアクションって他にもあるんじゃないかなとも思いました。
『白人の仲間がいたって、自分が黒人だってことを忘れるな』
『What ABOUT YOU ? 』
何気なく発せられた言葉がとても重く響く。
先日公開の Mid90s では主にレイとスティーヴィーの物語だったんですが、今作は監督のビン・リューと、仲間内で唯一プロを目指していたキアーとの会話が多く用いられていた。
ずいぶん印象の異なる2作品ではあったが、共に未来の見えない鬱屈した環境の中で、それでも何かきっかけを求めて光を探し、まっすぐに前を向く人間の希望というか、救いのようなものを感じた。
素晴らしい成長記録でした。
ニナ、本当に可愛かったのにザックこのクズ野郎!みたいな気持ちもw