本人の病識がなくても病院へ (『統合失調症 患者・家族を支えた実例集』で学ぶ②) | あがり症・パニック症・対人恐怖は「あるがまま」で克服できる!

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こんばんは~。


今日も昨日に引き続き、統合失調症について勉強しています。


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統合失調症の特徴のひとつとして、幻聴被害妄想などの症状があったとしても、本人はそれが病気の症状であることを理解していないということがあげられます。


※これを、「病識がない」といいます。


そして、症状が表面化するにつれて、ご家族など身近な方が異変に気付かれることが多いと思います。


本人に病識がなくても病気はどんどん進行していきますので、身近な方が

早く精神科を受診するように促すことが大切だと思います。


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それでも現実的には、本人に病識がないので、精神科を受診するのを拒むことが多いと思います。


何とか早く受診するように促したいところですが、注意点がふたつあります。


ひとつ目は、病識についてです。



『治療を始めるときに、「病気だということを納得したうえで精神科の治療を受けてほしい」とご家族が望まれることがよくありますが、これは得策ではありません。

病識がないことが病気の症状なのですから、治療を始める前に病識を持たせようとしてもそれは無理なのです。

(『統合失調症 患者・家族を支えた実例集』林公一先生 著より引用)



ふたつ目は、幻聴被害妄想への対応についてです。



ご家族からみると、何を変なことを言っているんだ、とつい否定したくなりますが、それはご本人からすると自分を全然わかってくれないという失望につながり、憤慨したり、頑なに何も語らなくなってしまったりすることになりかねません。


逆に幻聴や被害妄想を肯定すれば、症状の炎をあおるようなものですから、これも当然ながら勧められません。


だから、肯定も否定もしない。耳は傾け相槌は打つが、聞き流す。』

(『統合失調症 患者・家族を支えた実例集』林公一先生 著より引用)



ここで理解してあげたいことは、幻聴被害妄想は本人にとってリアルであることです。


そして、本人の話に耳を傾け相槌は打つが、それ以上に話を広げるようなことはしない。


決して否定はしていないので、本人も安心してくれるのではないかと思います。


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そして、この状態から精神科を受診するように促すわけですが


このまま本人に寄り添った状態で、今現在、本人が困っていることを解消する手段として、精神科の受診を勧めるのが良いと思います。


いい例が載っていました。



『ご家族が、「不眠症を治したほうがいい」と言って精神科の受診を勧めたのは非常に適切でした。


このような場合、被害妄想や幻聴を治すように勧めても、ご本人は納得されずかえって警戒を強めることも多いのですが、不眠といういわば副次的な症状、しかし本人が困っていると自覚していることを理由に受診を促すのは、このような場合に成功することが多い方法です。』

(『統合失調症 患者・家族を支えた実例集』林公一先生 著より引用)



これは本人の悩みに合わせて「進路に迷っているから相談に」でもいいですし


もし本人が「狙われている」と言って怯えている場合は、「避難するため」に入院を勧めるのもいいと思います。


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実際に悩んでおられる本人やご家族の辛さは、とても大きなものだと思います。


ここに書いた通りに、すんなり上手くいかないことも多いと思います。


その場合は、先ずはご家族の方のみで精神科に相談されるのもひとつの方法だと思います。



今日も、ありがとうございます!



↓29の実例が載っていますので、ご家族の方にとっても参考になるいい本だと思います。治療薬についての説明も載っています。

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