相手が攻撃的な態度をとる場合、どのように接していいか迷いますよね。相手が子供だと「親に対してなんという態度だ!」と道徳論を振りかざしてつい非難してしまいがちです。
でも人間学の観点から言うと<攻撃的な態度はもっと愛して欲しいという心のあらわれ>ということになります。すなわち、相手のもっと愛して欲しいという心を「受け止めて」あげればいいのです。
相手の態度を「受け入れて」しまうと、相手から影響を受けてしまい、自分の心で相手の言葉に
勝手に引っかかってしまいます。
「受け入れる」ことと「受け止める」ことは、心の作用としては全く次元が異なるのです。
「受け入れる」ことは例えればドッジボールです。相手めがけてボールを容赦なく投げつけます。そしてグサーッと相手に突き刺さっていくイメージです。「受け入れる」と相手の言っていることや態度を額面通り真に受けてしまうので大変ショックを受けてしまいます。
一方「受け止める」ことはキャッチボールに例えられます。相手が受け取れるように丁寧にボールを投げます。そして体の前で確実にボールを「止める」ことが出来ます。お互い相手から影響を受けることなく客観的に見ることが出来ます。
「受け止める」ことによって、相手の言葉や態度の背後にある「動機」を見つめてあげることが出来ます。どのような悪態をついてもそのことを真に受ける必要はありません。目に見える「カタチ」は真実ではありません。目に見えない背後の動機(感情、情)が真実なのです。
受け入れる人は、自分の情で相手の話を聞く人であり、受け止める人は、相手の情を中心に生きる人。そして「そうね、私もあなたの立場ならそう思うよ。」と言ってあげられるのです。
相手の「もっと愛して欲しいという心」を受け止めてあげましょう。攻撃的な態度は例外なくもっと愛して欲しいという心のあらわれです。
怒りの情は受け止めてもらうと消えていきます。同様にさびしい情も消えていきます。
もっと愛して欲しいという背後の動機を見抜いて受け止めてあげることによって、相手の持っている「責め心」「要求心」はなくなります。受け止めてあげることによって初めて相手もこちらの話を聞いてくれるようになります。
受け止め合う家庭で育った子供は、さびしさを生活の中で感じない子になり、人に与えようとする子になります。そして思春期以降、情が変な方向に曲がらないのです。
(岡本康裕)