「猫の模様の話」
音楽的朗読ユニット『Road Qu』
オリジナルショートストーリー(文・うえまつまさお)
ねえ、知ってる?
裏道で見かける、ちょっと模様の変なネコ。うん、あの縞ネコ。
なんか、頭の縞がずれてて、お腹の縞模様がぼやけてて、
縞だか斑点だか、分からなくなっているネコ。
アレね、生れてくる前に自分で塗ったんだって。
あのネコだけじゃなくて、生れてくるネコはみんなそう。
最初にネコの神様に、「筆」と「絵の具」をもらうの。
白ネコになる子は何もいらないから簡単なんだって。
黒ネコはおしゃれさんか、面倒くさがり。
頭から黒い絵の具をかぶっちゃう。だから、出来上がりが早いの。
たまに一緒に生れてくる隣の子のを取っちゃう子もいるんだって。
そしたら、黒ネコとぶちネコのきょうだいになるの。
片方は、絵の具が足りなくて、仕方なくぶちに塗るからなんだって。
それからね 白と黒のタキシード着てるみたいなかっこいい子
あの子はね、 こだわり屋さんだから綺麗に縁取ってから塗っていくんだって。
つやつやになるように、黒い所を2回塗る子もいるんだって。
あとね、女の子といえば、三毛。あの三色は、女の子の特権なの。
三つの色を同じ割合できれいに揃えるのが、ステイタスなんだって。
でも、ごくマレにね、男の子であの色に塗っちゃう子がいるんだけど、
そんな子は、とっても珍しいから生まれて行くときに、
「幸せを呼ぶ力」も持って行くんだって。
こだわり屋さんで個性的といえば、さびネコが一番かも。
だって、知らない人が見ると、雑巾を絞ったような…とか
インクをぶっちゃけたような…とか、そう言って笑うけど、
あの模様個性的で、一度見たら忘れないよね
なかには、芸術的な模様もあったりするしね。
あれは全部、自分でデザインして 描くんだって。
それでね、一番むずかしいのは、縞ネコやトラネコ。
だって、筆で丁寧に塗らないと綺麗にならないから。
あの縞ネコは、しっぽから塗り始めたそうよ。
しっぽは簡単でしょ。
でも簡単すぎて、ちょっと飽きたから、 今度は顔を描くことにしたの。
だけど顔は難しんだって。 塗ってる途中で、筆の先から垂れた色が
あごに付いたり、右と左で違ったり 。。。
あの子はね、失敗したり描き直したり、もたもたしてるうちに
生れる時間がきちゃったの~。
だからね、あわてて背中の模様を描いてたら、絵の具が乾いてなくて
にじんじゃったんだって。。
面白いよね~。
今度、面白い模様のネコを見たら、その模様どうやって描いたの?って
たずねてみるといいよ。
*前回の「ネコ展」の「Road Qu」公演でもお届けしましたが、
また、曲調を変えて3月10日に『虹猫の話』とともにお送りいたします。
お楽しみに。。。