九月二十九日の言葉 呼吸 | 心の経営コンサルタント(中小企業診断士) 日本の心(古典)研究者 白倉信司

心の経営コンサルタント(中小企業診断士) 日本の心(古典)研究者 白倉信司

心の経営コンサルタント(中小企業診断士) 日本の心(古典)研究者 白倉信司 古事記、易経、論語、大學、中庸、その他日本で古来から學ばれている古典に関する情報及び時事的な情報(偏向マスメディアでは報道されないトピックスなど)を毎日発信しております。

多くの人は、呼吸を吸って吐くものと思っているが、医学的には先ず吐いて吸うのが正しい。出す、排泄という機能が、人間の生理では非常に大事なことだ。宿便が生命を殆(あやう)くする所以でもある。(以上、安岡正篤一日一言から)

わたしは坐禅をやりますから、呼吸というのは吐いて吸うのが正しいということを体験的に知っております。坐禅の場合、先ず、丹田に力を入れて腰をすっと立てて、肩の力を抜いて自然体で坐ります。次に息を思いっ切り吐き出す。肺の中に溜まっている汚い息を出し尽くすように吐き出します。そうしますと、すっと空気が体の中に入ってきます。出し尽くすと、次の瞬間、すっと入ってくるのです。
「出すという機能が人間の生理では非常に大事なことだ」。呼吸も排泄行為も先ず出すことを心がけたいものです。これは窮めて理にかなった、それでいて誰にも簡単に出来る健康法です。

安岡先生は「健康」についても大変な薀蓄をもっておられます。名著「経世瑣言」から、仏医経(人身中の四大病を得る因縁及び九横、四飯、多食などの五罪を説く)の健康法を要約して紹介いたします。

……仏は医者の王であると申します。昔人智の発達しない時、人間が精神ばかりではない、肉体も疾病に悩んで、せんすべも知らなかった。そこに釈迦を初めとして祖師達はいずれも皆先ず以て本当に医者であった。その仏医経に人が病気を得るのに十因縁あると云って、十箇条目を列挙して居ります。まことに守り易い平明なことなのです。
第一、「久坐食わず」ということ。これは山林仏経のことで、現代の吾々に「久坐食わず」というようなことはありません、不規則な食べ方をすることに改めるとよいでしょう。
第二、「食不貸」。鱈腹食うこと、何でもいつでも食うことです。一体日本人は食い過ぎます。必要以上に、胃の中に入れて居らぬと済まぬ気がする。必ずしも沢山胃袋に詰める必要はない。それは却って有害です。だから日本人は胃酸過多症や胃下垂が多い。これは差当っての食糧問題ばかりでなく、根本的に習慣を直さなければならぬと思って居ります。私など時々食わぬ稽古をして居ります。
第三、「疲極」。或限度以上に疲れてはいけない。肉体的ばかりではありません。精神的もそうです。
第四、「淫佚(いんいつ)」。男女の欲ばかりでなく、すべての享楽の度を過すことです。
第五、「憂悶」。吾々は憂悶すると、生理的にも色々の反応を生じ、有害なことは申すまでもありません。
第六、「瞋恚(しんい)」。東洋最古の医書の中に、「恚」が健康に一番いけないと云っています。怒りの肝臓や血液や脳髄に及ぼす作用などがかなり明らかになっています。
第八、「下風を制すること」。上風はあくび、下風は屁であること申すまでもない。人前でやるのは無礼ですが、其処は然るべくやるべきであります。「嫁の屁は五臓六腑をかけめぐり」など如何にも同情に堪えません。
第九、「忍小便」。第十、「忍大便」。解釈はいりません。