スクールカウンセラーとして様々な講座をやることがあります。
年齢は小学校5、6年生から専門学生までですが、必ず感想を書いてもらいます。
すべての感想を読み、大切にコメントを書いて返します。
 
でも、この「感想を書いてもらう」ということについては葛藤もあるのです。
 
まず、デメリット。
・本当に感じたことより、講師や先生など読む人が喜ぶような感想を意識的にあるいは無意識的に書くことがある。
 
 → ほとんどの人にこの傾向はあると思います。ですから、「私に気を遣う感想とかじゃなくていいから、感じたことを素直に
書いてくれていいよ」などと年齢に応じて伝える場合もあります。
もちろん、そんなことは考えずに率直な感想を書いてくれる人もいますが、感想を読む側がこのことを念頭に置いておかないと、
大切なことを見落とす場合があると思っています。
 
・読み書き困難がある人には苦しい作業となりうる。
 
 → 字を書くことが困難なだけでなく、思いを言葉にして書くことが苦手な人もいます。そういう人にとっては「またか」「嫌だな」
と思わせてしまうこともあるかもしれない。今は配慮できることが限られているけれど、考える必要はあると思っています。
ただ、この感想を見て、読み書き困難のある可能性のある人が分かることもあります。
これは大事な視点で、そこから何らかの支援に繋げることもできます。
 
メリット。
・感想を書くことで振り返りができ、それぞれの気づきを得られる。

    →    個人差はありますが、大切なことと思います。

・講座でのメッセージを誤解して捉えている場合があり、そのフォローができる。
 
 → これもよくあります。「こうしなければならない」「すべき」と捉えてしまいがちな場合、そこを緩めるコメントを書き添えます。
 
・困り感や悩みを書いてくることがあり、見えていなかったことに気づけることがある。
 
 → これもよくあります。勤務校でも勤務校でなくても、カウンセリングに繋げたり、先生の配慮に繋がったりします。
 
・大人との関わりの小さな「一体験」となり得る。
 
 → コメントを読んで、私というスクールカウンセラー、一人の大人と関わる体験の一つになる。
別にうぬぼれているわけではなく、いろいろな大人との関わりも大事だと思うからです。
私自身、できるだけ、自分の気持ちに正直に、誠実に講座を行い、コメントを書きます。
「できるだけ」と書いたのは、自分でも自分の気持ちに気づけていないことがあるかもしれないからです。
 
他にもまだあるかもしれませんが、今のところ……。
今後も続けていきたいと思います。
 
ありがとうございました。
「子どもの笑顔とイキイキは、大人のイキイキから。」
こころの里カウンセリング 代表
 公認心理師・スクールカウンセラー・感性Artコーチ
   山﨑里美