「ひでぇことしやがるぜ・・・」
刑事は立ち尽くしていた。
そこにはあまりにも惨たらしい殺人現場があった。
横では、母親を殺された小さな子供が泣いていた。
刑事は、こどもに向かってこう言った。
「坊や、大丈夫だ。おじさんがきっと犯人を見つけてやるからな。
おそらくだけど、目星はついてるんだ」
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時は流れ、２０年。
当時の少年は、刑事になっていた。
当時の事件は、まだ解決していなかった。
「きっと母さんを殺した奴が、まだ生きているはずだ。
きっと自分の手で捕まえてやる。目星はついてるんだ。
きっとあの女だ。あの女だけは、許しちゃおかない。
絶対に見つけて、ブタ箱にぶち込んでやる。
たとえ法がさばかなくても、俺がさばいてやる」
そう意気込んだ若い刑事は、必死の捜索を始めた。
聞き込み、張り込み、被害者の人間関係や、
遺留品の数々を丹念に調べ上げた。
すると、やはり当時聞いた「目星の女」の姿が浮かび上がった。
「やっぱり、こいつに違いない・・・」
その女の周辺を、徹底的に調べ上げた。
女は、案の定、派手な生活を楽しみ、のうのうと暮らしていた。
また、口や態度が悪く、陰険で周囲にも疎まれていた。
「やっぱりこいつだ。こいつに違いない・・」
そしてある日、偶然にも駅のホームで女を見かけた。
女は電車を降りてどこかに向かうようだ。
刑事はあとをついていった。
女は、出会った人たちにあいさつをしたり、文句を言ったりしている。
それを見ていた刑事は、あの壮絶な犯行現場を思い出して
はらわたが煮えくりかえった。
そして、やってはいけないことを、ついやってしまった。
女を追いかけ、羽交い絞めにして、道路に叩きつけたのだ。
女「な、何するのよ！いきなり！！」
刑事「うるさい、おまえはこういう風にされる女なんだ」
女「なにを言ってるのよ！放しなさいよ！！」
刑事「いや、放さねえ。俺がこの数年間、どれだけおまえを憎み、
どれだけ苦しんできたかわかるか！
俺にはそうするだけの権利があるんだ！！！」
女「きゃー！助けてーーー！！ 殺されるー！！！」
と、女が叫んだので、周囲の人たちが集まってきた。
そして、刑事に向かって言った。
町の人「おまえ！何やってるんだ！！早く手を放せ！！」
刑事「違うんです、僕は刑事なんです、その証拠に、ほら」
と、警察手帳を取り出そうとしましたが、非番の日だったので
手帳を持っていなかったのです。
町の人「こんなウソまでつきやがって、ふてぇ野郎だ、警察に連絡しろ！！」
刑事は、駆け付けた警察官に連行されてしまいました。
その間にも、女の周りにはたくさん人が寄ってきて
町の人「いやぁ、大変だったねぇ、大丈夫かい」
女「大丈夫じゃないわよ！なによあいつ！！死刑にされてしまえばいいのよ！」
と、自分の正当性を訴えていた。そして女は去って行った。
刑事は警察でやっと身分を認めてもらい、解放された。
刑事「くそう・・俺のほうが被害者なんだ。あいつに復讐する権利があるんだ。
なのに・・・くそう！！」
その事件以来、刑事は女の身辺を探ることが難しくなってしまった。
それでも刑事は、粘り強く調査し、
とうとう逮捕状をとって女を確保することができた。
「お前がやったんだろうが！！！ネタは全部上がってるんだ！！！」
確かに、彼の集めた証拠は、この女が犯人であるといことを
十分実証するものだった。多少のこじつけはあったが・・・
女「だから！！！やってないって言ってるでしょ！！」
刑事「これだけ証拠が挙がってるんだ！いまさら何を言ってるんだ！！」
女「こんな、誰でも集められるし、こじつけみたいなこと止めてよ！！」
先輩刑事「もう、逃がしてやれよ・・・」
刑事「いや！駄目です！！こんなやつを許したら・・・許したら・・・」
先輩刑事「気持ちはわかるよ、でも、こうしたからって何になるんだ」
刑事「何を甘いこと言ってるんですか！！
こういう奴は、きちんと法律で裁かれないといけないんです！！」
先輩刑事「そうか・・・ おまえはそれで幸せなんだな」
刑事 「幸せ？ 幸せか、ですって？」
先輩刑事 「そう、 それで幸せか？」
刑事 「もちろん幸せです！それだけを夢見てここまで生きてきたんです」
先輩刑事 「そうか・・・ ちっちゃい夢だなぁ」
刑事 「なんですか！それは！！ あなたに何がわかるっていうんですか！！」
先輩刑事 「何にもわからないよ。俺はお前じゃないんだし。
悪かった、 じゃ、好きにしろ」
刑事 「僕は、この正義さえ貫けたら、それでいいんです。それで・・」
その日、若い刑事は、そのあと考え続けた。
「それで幸せか・・ それで・・ 幸せか・・・」
おりしも、時期は師走。テレビでは恒例の忠臣蔵をやっていた。
「主君のため、お家のため、やっぱりちゃんと正義は貫くべきだよな・・」
恥・・ 恨み・・ 晴らしたら・・・ 晴らされたほうは・・ いや・・
忠臣蔵を見ていると、最後には全員が切腹・・ 赤穂藩も・・
本当にみんな納得しているんだろうか・・
そんなことで、命を落としていいんだろうか・・
人を馬鹿にしたこと、殿中で切りつけたこと・・
自分の国を攻撃されたこと・・ その犯人捜しに戦争を仕掛けること・・
いや、無念は晴らさないとすっきりしない。
された人が浮かばれないではないか。
・・ 無念は、晴らせば本当にすっきりするんだろうか？
・・ 無念を晴らそうとして、相手が反省もせず笑っていたら・・
あの、法廷で悪態をつく犯人のように・・
・・・ された人は、浮かばれるんだろうか。それを望んでるんだろうか・・
眠れなかった。
かといって、無罪放免にしたら、きっとまた平気な顔で
犯罪を犯すに違いない。
駄目だ駄目だ、やっぱり許しちゃいけない。
若い刑事は、そう考えなおして、やっと眠りに就いた。
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翌朝早く起きると、珍しく娘が起きていた。
「お、どうしたんだ、珍しいな、おはよう」
「パパ・・おはよう」
娘は、目を真っ赤にはらしている。
「どうした、調子悪いのか」
「う・・ ん・・」
「どうしたんだ」
「あのね、私ね、お友達の明子ちゃんにひどいことしちゃったの」
「ひ、ひどいこと？」
「そうなの、みんなと一緒に仲間外れにして、悪口言っちゃったの」
「そうだったんだ、で、どうしてそんなことしたんだ」
「だって、みんなと同じにしてないと、私がいじめられるから・・・」
「そうか・・」
「明子ちゃんとは、いつも仲良くしてたのに・・と思って、
こっそり謝りに行ったの。でも、きっとひどいこと言われると思ってたら・・」
「思ってたら？」
「明子ちゃん、いいよって、許してあげるねって、いつもみたいに笑ってくれたの。
あたし、それがうれしくて、でも、つらくて、でもうれしくて、眠れなかったの！」
「・・・ そうなんだ・・」
「ねぇ、なんで明子ちゃんは、あたしのこと怒らなかったのかな」
「そ、そうだな・・ それはみんないろんな事情があって・・ しかたないって
思ってくれたのかもしれないね。それに、そんなことで恨みを晴らしても
きっといいことにはならないって、明子ちゃんは知ってるのかもしれないね」
「・・ そうなんだ。あたし、もし明子ちゃんが許してくれなかったら、
たぶん、もう二度と明子ちゃんとはケンカ別れしてたと思うし、もし
ひどいこと言われたら、もっとひどいことしてしまってたかもしれないもん」
「そうだね、おまえはとってもいい友達を持ったね。そう、そうやって
相手を許してあげたら、こんなにいいことになるんだもんね」
「うん・・ ぐすっ」
「うん、もう泣かなくていいよ。よし、じゃあおまえは、誰かにひどいことされたら
これからはどうすればいいのかな」
「うーん、難しいけど、明子ちゃんみたいにしようと頑張ってみる」
「うん、それでいいのかもしれないね。ちょっと頑張ってみようね」
「うん、今日はね、学校に行ったら、あきこちゃんと遊ぶんだ。
ほかの子たちにいじわるされてもいいから、あたしそうしたいの。」
「そうか、お父さんもそうしてくれるとうれしいな」
若い刑事は、頭の中で何かが変わっていくのを感じた。
「・・・そうか・・ 先輩が言ってたのは、もしかしたらこういうことかもしれない」
しかし、そうは言ったものの、若い刑事にとっては、苦渋の決断だった。
単なるいじめと、殺人はレベルが違うし・・ 同じようにしてもいいんだろうか・・
それに、俺のこの気持ちはどうすればいいんだ・・
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さて、お話はここで終わらせてみます。
いかがでしょう。
そして、この若い刑事は、どんなことを選択するのでしょう。
そして、この物語は
私たちの心の中で起きることが現実化したものです。
ぜひ「どの選択が、本当に幸せになるのか」考えてみてくださいね。
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さて、昨日は、自己実現コースの平日コース。
のあと、イタリアンの閏（うるう）でクリスマス会（笑）
夜中まで大盛り上がりでした。
どうやってみんな僕のところに来てくれたのか、
そんなこと聞いてたら、やっぱり色んなルートやドラマが
あるんですなぁ（笑）
さて今日も、平日コースです。
そして、明日から 別府でのセミナーです。
http://ameblo.jp/yourexcellence/entry-10402265695.html
そのあとは、ぶらり高千穂まで・・
