『戦争と平和』読み終えた | 心の風景

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 7月17日にレフ・トルストイの『戦争と平和』を読み終えました。2月20日に読み始めたので、5か月かかったことになります。ようやく宿願を果たしました花火

 

 作者は19世紀ロシアの世界的文豪。作品はナポレオンのロシア侵入を背景とした作者の代表作です。あるアンケートでは現代でもロシアで最も人気のある作品です。

 

 今回は学生時代以来の再読ですが、読んでよかったとしか言いようがありません。以前とは比べものにならないくらい楽しく読むことが出来ました。

 

 前回は全く分からなかった作者の主張を私なりに受け取ることも出来ました。もっと深い読みはいくらでもあると思いますが 私としては満足です。むだに年はとらなかったな、という思いです😁。

 

 それは、人為を去り、自然に戻るということです。そこに幸せがあるのです。

 

 主人公の男性貴族アンドレイとピエールは最初は頭でっかちの人として登場します。アンドレイは政府や軍隊に入り、ピエールは宗教にこったりして、よりよく生きようと悪戦苦闘しますが、貴族社会や軍隊の虚栄や物欲などに悩まされ、迷いが生じ、充実感が得られません。

 

 しかし、自然の生命力に触れ、感性のままに伸びやかに生きる貴族の娘ナターシャと恋愛し、素朴な農民と交流することなどを通して生きる喜びを見出していきます。

 

 命を賛美する作者にとっては、戦争は当然忌避すべきものです。殺人を行なう場面の兵士たちは人の心を失った抜け殻のように描かれています。一方、ナターシャの兄ニコライを含め、主要人物は人の命を助けるために奮闘する場面が描かれます。

 

 その戦争を主導するのは英雄ナポレオンや上流階級の人間ですが、英雄らしいところの全くない、歴史に流されるだけの人間として扱われています。

 

 前回は読んだそばから忘れていきました。今回はまだ読み終えたばかりということもあるのでしょうが、多くの場面が鮮やかに記憶に残っています。それだけ読み方がうまくなったのかもしれません😁。

 

 実は作品後半と最後には歴史に関する哲学的考察が含まれていて、これが難しいですが、そこは飛ばしてもかまいません。本作はとても長いですし、強くお勧めすることはしませんが、読めば読んだだけのことはあります。

 

 なお、私が読んだのは光文社古典新訳文庫の電子版です。

 

 以前の『戦争と平和』についての記事は1️⃣2️⃣3️⃣です。