母の涙なのか | 工藤 勝己オフィシャルブログ Powered by Ameba 心かさねて

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2021年 5月 6日 『伝わる文章教室』初版発行
2024年 1月 9日 重版 4刷発行
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2024年 8月 11日『面接合格完全攻略』発売予定(予約受付中)

大学生の梨菜さんは

5歳で母を亡くし

ファミリーホームで育った。

 

読売新聞オンラインの記事から

少しアレンジして記してみたい。

 

梨菜さんは 幼い頃

いつも母にべったりだった。

 

料理をする母から離れず

ずっと台所にいるような

そんな子だった。

 

ある日

 

大好きな母に

子宮頸がんが見つかる。

 

その時

梨菜さんは4歳。

 

子宮を摘出したものの

肺や肝臓に転移しており

 

母は余命3か月を

告げられる。

 

両親が離婚していたため

梨菜さんは児童養護施設へ。

 

それでも

 

週に3回は

母を見舞った。

 

病室で横になる母を見ると

さみしさが込み上げてきて

帰りたくなくなったが

 

幼い梨菜さんは

「わがまま」が口から出るのを

必死に呑み込んだ。

 

ある日

 

病室に泊まることが

許可された。

 

さみしそうにしている

梨菜さんを案じて

母がかけあってくれたのだ。

 

病室の畳に敷いた

布団の中で

 

久しぶりに

2人で寝た。

 

ギュッと母に抱きしめられて

梨菜さんは声を絞り出す。

 

 お母さん

 死なんといて。

 

日に日に悪化する

母の体調。

 

別れを覚悟したのだろう

母が言った。

 

 一度この世で会った人は

 また次の世界でも会えるよ。

 

 お母さんは 梨菜の赤ちゃんに

 生まれ変わろうかな。

 

 だから だから

 悲しくないよね。

 

ある日

 

施設の職員に呼ばれて

病院に駆けつけると

 

大好きな母は

既に亡くなっていた。

 

 お母さん

 起きて!起きて!

 

体をさすって起こそうとしたが

母が目を覚ますことはなかった。

 

 まだ小さいのに

 かわいそうに。

 

母の葬儀で大人たちの

言葉が耳に入ってきて

 

幼い梨菜さんは

泣くのを我慢した。

 

 悲しまない

 

それは母と交わした

大切な約束だったから。

 

当時

 

ソーシャルワーカーとして

施設にいた女性は

 

ふさぎ込む梨菜さんを見かねて

自宅に招くことにした。

 

自分の娘を交えて

トランプをしてお風呂にも入った。

 

「家族」の温かさに触れた

梨菜さんは大声で泣き出して

そして 泣き続けたという。

 

母を失った悲しみが

決して癒えることはなく

 

梨菜さんは

6歳の誕生日を迎えた。

 

その日

 

施設にいる梨菜さんを

弁護士が訪ねてくる。

 

花束とともに梨菜さんに

手渡された手紙には

 

見慣れた文字が

躍っていた。

 

 おたんじょうび

 おめでとう。

 

 おかあさんは りなのこと

 いつまでも あいしてるからね。

 

 ずーっと おそらから

 みまもっているからね。

 

死の直前に病室で

34歳の母が書いた手紙だ。

 

弁護士に託された手紙は

梨菜さんが20歳になるまで

毎年届いたという。

 

 

困難に直面して苦しい時

さみしさに押しつぶされそうで

つらい時にも

 

その手紙は

梨菜さんの支えとなった。

 

 少しずつ大きく

 すてきな女の子になっていくのが

 とてもうれしいよ (8歳)

 

 もう立派な女の子ですね

 お母さんは天国で見守ってるけど

 りな自身も きちんと自分を

 守ることをおぼえてね。 (11歳)

 

 あこがれる男の子の

 1人くらいは

 できてしまったかな (16歳)

 

 

成長に合わせて

増えていく漢字

 

母の涙なのか

文字がにじんでいる

部分もあった。

 

2023年12月

 

20歳になった梨菜さんに

天国から最後の手紙が届く。

 

そこには

 

大人の仲間入りをした梨菜さんを

祝福する言葉が綴られており

最後に こう結ばれていた。

 

 梨菜。

 心から愛しています。

 

 

 

 

 母親の愛は

 人間形成の源。

  (斎藤 茂太)

 

 母親の涙には

 化学では分析できない

 深く尊い愛情がこもっている。

  (ファラデー)

 

 一番大きな愛は母親の愛

 次は犬の愛

 その次は恋人の愛。

  (ポーランドのことわざ)

 

 人の価値とは

 その人が得たものではなく

 その人が与えたもので測られる。

  (アルベルト ・アインシュタイン)

 

 笑顔は1ドルの元手もいらないが

 1000万ドルの価値をも生み出す。

  (デール ・カーネギー)

 

 1日を大切にせよ

 その差が人生の差となる。

  (デール ・カーネギー)