日本産業衛生学会専門医、受験体験記(なんとか?合格!) | 精神医学をもっとわかりやすくもっと面白く。

日本産業衛生学会専門医、受験体験記(なんとか?合格!)

こんにちは。
 「なるほど&エンタメ&タメになる」精神医学を提供する、
なるタメ教育系精神科医の西井重超です。

 

九州にある産業医科大学から関西に戻って4年目、

ついに日本産業衛生学会専門医を取得できました。

令和元年(令和1年、2019年)度の日本産業衛生学会専門医試験合格です。

 

日本産業衛生学会専門医は産業医の専門医にあたる資格です。
現在、日本医師会認定専門医が10万人超いますが、
日本産業衛生学会専門医は約700人しかいません。

 

かなりレアな資格なので、合格体験記みたいなのを書いても意味があるかわかりませんが
こんな感じでしたよということを書いておきたいと思います。

 

専門医の研修制度が少しずつに変わっていっているのですが、しばらくは

 

専門医になるための研修

研修に基づいてのレポート(研修手帳)の作成

手帳の合格

専門医試験の合格

 

この流れは変わらないかと思います。

精神科専門医を取るときも同じ流れでしたし。

 

で、手帳に合格すると下記のような案内が来ます。

(白紙で出すなど暴挙に出ない限り、手帳で落ちる人はほぼいないと思います。)

 

僕は手帳で不合格にならなかった安心感から

宿泊の申し込みをしないといけないことを直前まで見落としていたのですが、

みなさんは忘れないようにしてください。

 

 

試験は1日で終わる精神科専門医より結構厳しい内容になっており、

2日間かかります。

 

1.筆記試験

2.グループ討議

3.個人面接

4.課題発表

 

の4つに分かれます。

上記画像の案内では少しわかりにくいかもしれませんが、

この4つ全てで60%以上の得点を取れば合格です。

 

1.筆記試験

2.グループ討議

3.個人面接

4.課題発表(プレゼンテーション)

 

それぞれに思ったことを書きます。

 

1.筆記試験

過去問5年分ほどの筆記試験を解けば大体傾向が見えてくると思います。

例えば労働基準法や男女雇用機会均等法の女性労働者に関わる内容とか。

最新年度分(去年分)が直前の8月初~中旬頃に発表されました。

お盆頃には出ていると思いますので、忘れずにチェックすることが大事です。

 

過去問で見てもらったらと思いますが、

○×10点、選択肢10点、穴埋め20点、記述15点×4題の合計100点満点です。

 

わからない問題が○×、選択肢、穴埋めでそれぞれ2~3割出ました。

試験が終わってから自分が分からなかった問題を他の人が知っていたら激しい劣等感にさいなまれますが、

全ての試験が終わるまでは終わったことは忘れたほうがいいです。

(私も試験が終わるまでは我慢して、すべての試験が終わってから劣等オーラを放ちました。)

 

記述は過去問と同じく「2問の内どちらか1問について、設問に記述せよ。」という問題が4つ出ました。

過去問を解いている時はこれまた劣等感にさいなまれますが、

どちらか片方だけでいいので本番ではわかる方だけを書けばいいと思えばおそらくそれなりに書けます。

 

記述の1問目は決まり的なものを知っているか。

今回は腰痛ガイドラインと労災二次健診どちらかの全容を書かせる的な問題でした。

 

記述の2問目は毎年おなじみの英語論文の図表を読むやつです。

明るさ?日照時間中の労働?かなんかの問題と、禁煙開始年齢と寿命的な問題でした。

読んでてお分かりだと思いますが、後者の方がシンプルだったのでそちらを選びました。

 

記述の3問目は記憶にございません。(汗)

化学物質系だったような気がするのですが、事例を見て対応する内容だった気がします。

実際に産業医としてどのような対応をするかを書かせる問題だった気がします。

 

記述の4問目も、事例を見て対応する内容です。

私が答えなかった方はどのような問題かは忘れましたが、

私が答えたのは不注意を主訴とした生活習慣病からの脳血管性認知症の職場支援でした。

問題文からは実はうつ病の不注意か、ADHDから来る不注意なのか鑑別がはっきりとわからない内容になっています。

身体的なfollowと手帳などの社会的支援、あと社内での両立支援の話をメインに書いた記憶があります。

 

2.グループ討議

OHASという専門医試験対策講座があります。

http://www.ihf.or.jp/index.html

受講は必須ではないのですが、受講しておくことでかなり楽になります。

4月初旬が申込日、毎年7月第1土曜・日曜が受講日です。

申込日がたった2週間で、定員もあるので忘れないように申し込まないといけません。

 

グループ6人前後の中から進行役、発表者、タイムキーパー、書記の役をして

4問程度の問題について討議していきます。

討議と言うよりみんなで力を合わせて問題解決のアイデアを出すという感じです。

 

時間の関係上で進行役、発表者、タイムキーパー、書記の中で2つの役は回ってくると思っておいてください。
なにも役に当たらない問題の時もありますが、グループ討議なのでみんなで意見を出し合います。

 

進行役:全員をまんべんなく発言させてスムーズに進行させる司会のようなもの。

発表者:出た意見をまとめて発表する。書記の書いた内容を見ながら発表。

タイムキーパー:あと何分ですとか言う。全体の時間をみつつ、話題が滞ってたら話を進めるように言ったり。

書記:言われたことをホワイトボードに箇条書きにしたりしてまとめていく。

 

これは得手不得手ありますので、どれが点数を稼ぎやすいかは一概には言えないと思います。

落としあう試験ではなく、協調性も見られていますので、誰かを攻撃するような言動は絶対に避けましょう。

一人だけ喋りすぎて他の人の発言の機会を奪うのもNGです。

1つのアイデアを出したら次の人に意見を回すという協力して合格する姿勢をみせましょう。

 

3.個人面接

研修手帳をもとに面接が行われます。

課題発表のプレゼン内容を練っている途中で呼び出されますので、

もしかしたら最初に個人面接に行く人の方が楽かもしれません。

(個人面接のことを気にせずに残りの時間を課題に集中できるため。)

 

「ここはこう書かれていますが、どのようなことをしましたか。」

という内容がほとんどでした。

健康教育とOSHMSと研究内容(学会発表の内容)と長時間労働の話は聞かれたような・・・。

 

あとは「事業所では有害業務があまりないようですが、どのような方法で有害業務を研修しましたか。」などです。

産業衛生学会では事業所の見学ツアーも行われています。

私は運よく見学ツアーに参加して他の業種・事業所での有害業務を勉強していましたので、その見学した内容について話をしました。

 

産業医を目指した理由なども聞かれましたが、

そこは専門医を目指す志高いみなさんですので特に問題なく言えると思います。

 

少なくとも圧迫面接みたいな感じではなかったです。

 

研修手帳のコピーが手元にあると思います。

知り合いの先生がいたら、(OHASで知り合った先生がいたら)

1日目の夕食後に十分に時間がありますので

2人で手帳のコピーを交換して交互にでも質問しあうのがいいと思います。

 

4.課題発表(プレゼンテーション)

課題に対して、どのように提案するかプレゼンテーションする能力を見られます。

A3くらいの画用紙に何色かのマジックで書きこんでスライドを作っていきます。

パワーポイントのスライドをアナログで作ると思ってもらったらいいでしょう。

 

2日目の朝に用意された封筒を1つずつ取ります。

その封筒の中に課題が入っており、9時になったら一斉に開封します。

 

資料持ち込みが可能なので安心してスライド作りができました。

割とマイペースにスライド作りができますが、

試験官の先生がいるので私語ができるような環境ではありません。

 

持ち込まれている資料は様々で、ガイドライン系をたくさんコピーしてきている人もいました。

8月1日あたりに労働衛生のしおりの最新版が出ますので、中災防から購入しておきましょう。

https://www.jisha.or.jp/order/index.php

ガイドラインを持ってきたい人は、最新版のしおりを読んでいくと

それぞれのページに重要なガイドラインの紹介がしてありますので

それを持っていかれたらいいと思います。(私はそこまでしませんでした。)

私が使ったのは「産業医の職務Q&A」と「労働衛生のしおり令和元年」の王道2冊のみでした。

知識がアップデートされていない病気や忘れかけている病気についての

両立支援を尋ねられたときのリスクを考えて

趣味で買ったイヤーノート2018も買っていきましたが使いませんでした。

 

スライド作り2時間30分が終わった後は発表まで途中で昼休みをはさみますが、

受験者同士は会話を行うことができます。

課題について話をすることも自由です。

緊張が緩和するのか、試験についての内容であるものの

雑談的な会話をしている人が多かったように思いました。

(私も途中まで普通に雑談していました。)

スライド作りをした部屋には試験官の先生が待機していますので、

その部屋で雑談をしたりくつろぐのは可能なものの

昼休みにスライドの手直しをしている人はいなかったように思います。

 

ここで1つ注意してほしいのは、

プレゼンに自信がない人こそ昼休みの時間を使って1-2回は小声で練習をしてください

プレゼンスライドは4-5枚になると思います。

そのまま書いたことを読んでいけば5分で終わってしまいます。

 

私は昼休みが練習するチャンスであることに気づくのが遅く、

(他の人は練習していたかどうかはわかりませんが)

なんとか1回だけ練習ができました。

おかげで練習では6-7分で終わってしまったのですが、

本番では少し小話を交えつつ10分程度に長引かせることができました。

 

本番では前日のグループ討議と同じグループメンバーに10分のプレゼンをします。

グループメンバーはプレゼンに対して8分程度質問をします。

 

課題番号が若い順番から発表させられます。

私は課題2だったので、2番目の発表でした。

 

内容は下記のような感じです。

あなたは化学物質を扱う研究所(従業員450人)の産業医です。

近年、発がん性分類に基づく化学物質の管理が強化されているので、

研究所全員に対して、その動向を踏まえた安全衛生管理について

要点を整理してプレゼンしてほしいと言われました。

 

得意ではない化学物質を引き当ててしまい少し悩んだものの、

5枚のスライドを作成しました。

20分ほどで方針を練って、残り2時間10分で

1枚15分ほどで下書きをし10分ほどでマジックで清書する感じです。

マジックは5種類ほど用意されていますが、黒・赤・青の3種類で十分です。

というか、色々色付けしすぎると見づらいスライドになるので3色をお勧めします。

 

まぁ、プレゼンはおそらく得意な方なので私なりの方法を書いておきます。

この手の発表は

「今こんなことが起こっています」

「なぜならこうなのです」

「だからこうしないといけないのです」

このフォーマットが思い浮かべば楽かなと思います。

 

つまり、

1.発がん性分類に基づく化学物質の管理が強化が色々されています(法、規則の改正)→しおり見る
2.なぜなら実際にこんな事故が起こったからです→Q&Aで過去事例見る

3.だからこういう安全対策が必要なのです→自分で考える(Q&Aで対策方法見る)

という流れでスライドを作りました。

 

正直言って資料で調べる時間はほとんどありません。

規則など事実確認だけして、あとは下書きを書いていくような感じになります。

もっと重要な規則改正があったとしても調べられなかったら手元にあるデータだけでの勝負になります。

 

来年以降、専門医を取られる方は是非頑張ってください。

心身ともにしんどかったので私は二度と受けたくないです・・・。

 

「なるタメ」精神科医の西井重超でした。

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