最大のチャレンジ | 桃象コラム

桃象コラム

音楽(特にピアノ)、演劇鑑賞、料理、旅行、ヨガ、スポーツ観戦(フィギュアスケート、サッカーなど)を心のオアシスに、翻訳を仕事にしていつの間にか四半世紀。まだまだ修行中。

今日12月18日午後4時ごろ、スケート連盟が羽生さんの全日本欠場を発表した。

 

「全日本に向け、治療とリハビリに取り組んでまいりましたが、断念せざるを得なくなりました。今後は一日も早く、ベストな状態で練習に専念出来るよう頑張りたいと思います」 とのこと。

 

「断念せざるを得なくなりました」の一言が辛いが、正直、ほっとした。全日本出場が五輪代表選出の必須条件となっていないことに感謝。ここで無理をしては元も子もない。とはいえ、どんなにか辛い決断だっただろうか。

 

記憶がちょっとあいまいなのだけれど、中国杯で事故のあった14-15年シーズンが終わる頃だったろうか。中国杯の後で、あれだけの怪我をおしてNHK杯に出たのはなぜか、棄権しようとは思わなかったのか、という問いに対して、羽生さんは「なんでそんなこと聞くの?」とばかりに驚いた顔をして、こう言った。

 

「それは僕が現役のスケーターだからです」

 

怪我をすることも、病気になることもある。それでも現役のスケーターならば、目の前の試合を放棄しない。そう考える人が試合を棄権する。これで今年は2試合のみ。日本で滑る機会はなくなった。

 

しかし彼はこうも言っている。これも2014-2015年シーズンで、グランプリファイナル後に松岡修造さんのインタビューに答えたものだ。

 

 「諦める、諦めないじゃなく何をやるか

ただあきらめないでがむしゃらにやったって、何も変わらない。

具体的に自分が何をすべきか、今、何をしなくてはいけないかを、

諦める諦めないの前に考える」

 

きっと今は、何をすべきかをじっくり考えていることでしょう。

 

中国杯の時も、開腹手術の時も、リスフラン靭帯の時も、大丈夫だろうかと散々心配した。

そして、いざ試合となったら、「なんだ、心配して損したぐらいの仕上がりだった。

 

オリンピックを前に、試合から遠ざかる。予定していた調整ができない。まったく想定外だっただろう。

それでも私は信じている。きっと、来るべき時が来たら、あの心配は何だったのだろうと思うことを。

 

それまで、ファンができることは、ただ、待つ、祈る、受け入れる、だけだと思っている。

 

桃象