前回の記事で全体通しての流れと感想はあらかた書いたのですが、書き足りない部分を②として記します…!
セリフのリズム
刀ステはじめ、末満さんの書く作品の第一の特徴…ではなく第二くらいに置いておくべき特徴として、
「セリフの面白さ」があります。
面白さ
=深さ
=意味深さ
=深読みできる面白さ
そして今回は、キャラクターによってはそのリズムがとても小気味よく、何か歌舞伎の口上であるとか、講談を聞いているような部分がありました。
孫六兼元
1番わかりやすかったのは孫六さん。
役者さんの特有のものなのか、演出によるものなのかはわからないのですが、とにかく小気味良い。
聞いててワクワクするような口上でした。
行ったり来たりする場面と意識
物語の作りとして、末満さんの得意(と、私が判断している)な形。
観客は意識を作者に手玉に取られているような感覚です。
今回「これは、走馬灯みたいだ」という劇中のセリフで、
今回の物語は刀剣男士が出陣して匿名調査先と、「誰かの(死の間際の)走馬灯」とを、いぅたり来たりして進んでいることが、早い段階でわかります。
新選組の歴史は、物語、史実…、かなりの部分が知られています。
知られているからこそ
「時空が歪んだ」先にある光景が
「新選組が活躍しているただ中のできごと」だと分かります。
そしてまた匿名調査の場面へ帰る。
そうして戦ううちに、また時空が歪み、新選組の活躍して時代へ(おそらく意識が)飛ばされる。
そうして行き来しているうちに、観ている私たちの意識も、
新選組の時代に同化していきそうになる。
ラストの何場面かは特にそう
局長、そして今回の発端沖田総司など、個々の歴史上の人物と、それぞれの持っていた刀たちのやりとり。
走馬灯の中の、仲間たちとのやり取り…
ここまでの行ったり来たりを経て、感情移入させられているから、完全に感情移入、なんなら新選組側に意識行ってるのかも。
最後の局長の場面では、もう、どうしようもなく嬉しく悲しかったですね…
ここから、新選組は始まっていくのに。
もうここでは終わってて、本来なら局長はこの時代にはいない、操られているのですが、でも最後の場面は確かに局長だったなあ…
新選組の時代
物語でしか知らないけれど、本当に新選組の駆け抜けた時代は、熱くて好きです。
余談ですが、これまでに読んだ新選組の小説などで好きなのは「新選組血風録」(司馬遼太郎)です。
短編の集まりみたいで読みやすいのもいい。
ちょっと厚いけどおすすめです。
始末記もいいですよね。