ケーキの切れない非行少年たち 宮口幸治著
オーディブルで聴いてみました。
少年鑑別所や少年院に運ばれて来るような子達は、たいていが知能に問題を抱えているんじゃないかということがテーマでした。
ケーキを三等分に切ってくださいという簡単な図形のテストを出したとき、
ベンツマークのように書くのではなく縦半分に線を引いた後に、片方だけに線を引いてそれが三等分できたと思ってしまう子がいた時は筆者は衝撃を受けたそうです。
知能や発達にもともと問題を抱えていながらもそれが軽度のため、学生時代や仕事先でも表向きは知能は普通とされてきた。
その結果問題視されることなく大きくなり、犯罪に手を染めてしまってから医療少年院等で初めて発覚する場合が多いのだそうです。
そもそも、親が自分の子供に発達に問題があるのではないかと気づいた時点で、何らかの対処ができる。
その家庭は犯罪を起こすような子供を食い止める事ができているのだそうです。
問題は、そういう知能に問題がありながらも家庭で見過ごされてしまうため、学校や社会で少しずつ生きづらさを感じてしまう。
世間から疎まれている、ちょっと目があっただけで睨まれている悪口を言われているというような被害妄想をおこし、
それが自分の思い過ごしであるとは疑わず、後先考えずに犯罪に手を染めてしまうのだそうです。
重大な犯罪を犯しておきながら、自分は優しい人物であると思っているという認知の歪み。
性加害者の多くはコミュニケーションが下手で、イジメの対象になってしまうことも多いそうです。
自分がイジメられたから、そのストレスをさらに自分よりも弱い立場である小さい女の子に向け性的暴行を加えたりするといったパターンが多いそうです。
社会が、“頑張っている人を応援したい”というのはよくあることですが
そもそも頑張ってもうまくいかない人、
頑張れない人こそ、支援されるべきだ
と筆者は言っていました。
私の話になりますが
うちの次女が入学前のことです。
ひらがなを書かせたり、数字を数えさせたりという簡単な入学準備をさせていたのですが、それすら理解できないようで私はLD(学習障害)を疑いました。
入学後も、椅子にじっと座っていられない
先生の言うこともよく理解できない。
一年生の簡単な宿題も何時間もかかってようやくできる。という有様でした。
いちど、勉強やりたくなくて怠け癖があるのかなと怒った時期がありましたが
次女は私を睨みつけて恨むような目でこっちを見てきました。
その時の目はとても低学年にできるような目ではありませんでした。
大人になれば本当に私に危害を加えてくるんじゃないかと恐れるくらいの怖い目でした。
それから私は育児書を何冊も読み、
うちの子なりに頑張っているのだ、周りと同じように成長しなくても、娘なりの成長だけを褒めようと努力しました。
(よりによって超優秀なお友達が周りに居たりするのでホントに辛かった…)
やがて私の接し方が変わると、娘も安心したように勉強に取り組めるようになりました。
高学年の今では、決して成績が良い方ではないものの、宿題も自分一人でできるようになり、穏やかで優しい子に育っています。
あの時娘への接し方を間違えていたら
間違いなく非行に走っていたんじゃないかなとこの本を聴いて思いました。